生まれたばかりの赤ちゃんは、大脳の発達に伴って原始反射が始まっている。そのひとつに非対称性緊張性頸反という反射運動がある。
この運動は、赤ちゃんを仰向けに寝かせた時に、顔を向けた側の手足が伸び、反対側が縮む反射運動だ。生後2〜4ヶ月頃から見られなくなるが、這い這いするためには、この反射が消えていなければならない。脳性麻痺の赤ちゃんでは、この反射が長く残るために、這い這いできない場合がある。
赤ちゃんが這い這いできるためには、上肢と下肢を交互に動かす交互運動ができること、首が座り、手足の位置に関わらず顔が前を向いていること、奥行きを理解できること、この3つの身体機能の成熟が前提になる。
小児科学の立場から見ると、這い這いは、運動機能の発達に欠かせない。歩くための予行訓練だが、這い這いできなければ、あんよ(歩行)が遅れるということはない。
また、最近の研究によれば、およそ10%の赤ちゃんは、お座りの姿勢のまま腰を浮かせて前へ進むシャッフルで歩き始めるという。這い這いしなくても、運動機能は正常に発達する。這い這いは、あんよ(歩行)のために必ずしも必要不可欠ではないのだ。
(文=編集部)
●参考資料
榊原洋一「大人が知らない子どもの体の不思議」(講談社)
榊原洋一「赤ちゃんの体と心の発達24カ月」(主婦の友社)