女の子はいつから「自分は女」だと認識するのか?shutterstock.com
生まれたばかりの新生児(生後1カ月まで)は、目が見えているのだろうか?
近年の新生児や乳児(生後1年未満)の行動観察によれば、新生児でも目の前数10cmにあるモノは、ぼんやりと見えているし、目の前の人の目元や口元をよく見ていることが分かった。紙に描いた縞模様を見つめる時間差を測って視力を調べると、出生時は0.02〜0.03、1歳児は0.2〜0.4、3歳児は1.0だった。
いくつ頃から子どもは自分を意識するのか?
大人なら、鏡の中に映っているのは自分だと認識できる。では、赤ちゃんはどうか?
「私は私だ」という自己意識度を調べるマークテストがある。この実験では、赤ちゃんに気づかれないように、鼻や頬などに口紅をつけて鏡を見せる。赤ちゃんが口紅のついた場所を触ったり、拭ったりすれば、鏡の中の姿が自分だと認識していると判断できる。
1歳前半の子どもは、口紅のついた場所を自発的に触る子どもはほとんどいないが、1歳後半の子どもは、自分で口紅を拭う仕草をする割合が約6~7割に増える。つまり、1歳後半になれば、多くの子どもが「私は私だ」と自己認識していると考えられる。恥ずかしい、照れくさい、気持ち悪いなどの複雑な感情が芽生えるのもこの頃だ。
人間以外の動物でマークテストを行うと、チンパンジーやオランウータンなどの大型類人猿も、自己認識することが知られている。子どもの発達心理学の研究を重ねながら、さまざまな角度から子どもを見れば、人間の進化の謎を解き明かす興味深い事実がもっと見つかるかもしれない。
自分が男か女かを分かっているの?
大人なら、顔や声や姿形を見聞きして、相手の性別を判断するだろう。子どもは、何を手がかりにして、自分の回りを取り囲んでいる人やモノを区別したり、男女の性別を判断しているのだろう?
たとえば、保育園や幼稚園の友だちが男の子と女の子に分けられていることで、子どもは男女の区別を経験する。3歳頃には「私は女の子よ」と自分の性別を言えるようになることから、自分の性別を意識していることは確かだ。だが、大人のような性的な意味合いはないのは、言うまでもない。
子どもが性に目覚める思春期は、第二次性徴が始まる11歳前後〜18歳頃。女の子は10〜12歳、男の子は11〜14歳で始まるが、個人差があるので、心と体のアンバランスに悩む時期でもある。子どもの健やかな発達と成長を支えていきたいものだ。
(文=編集部)