インタビュー「患者サイドも医療サイドも満足の“日帰り手術”を!」第2回 東京ヘルニアセンター・執行クリニック院長 執行友成医師

子どもを含め年間30万症例もある鼠径ヘルニア、わずか25分の手術で再発率1%以下に

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7000例以上の手術経験は日本でトップクラス

 1998年7月、クリニックでの「鼠蹊(そけい)ヘルニア日帰り手術」が日本で初めて行なわれた。執刀したのは、東京・神楽坂の執行(しぎょう)クリニックの執行友成医師だ。その3年前から神奈川県の湘南鎌倉総合病院で日帰り手術が行なわれ多くの患者の支持を得ていたが、開業医が日帰り手術を行なうのは前代未聞と言えるほどの出来事だった。

 「近所の方が日帰り手術の必要に迫られていたので、看護師と相談して暗中模索の中で決行しました。大変疲れましたが、患者さんに満足していただけたことが嬉しく、その頃から始めたホームページに書いたところ、鼠蹊ヘルニアの日帰り手術を希望する人が次々とやってくるようになったのです」

良性疾患の中で手術数が最も多い鼠蹊ヘルニア

 日本では、鼠蹊ヘルニアで受診する人は年間18万症例、子どもも含めるとおよそ30万症例もあるという。非常にポピュラーな疾患だ。

 「脱腸とも呼ばれるこの疾患は、鼠蹊部(脚の付け根)に腸管が飛び出してしまう病気です。お腹の中にあった睾丸が体の外に出る際の通り道が"鼠蹊部"ですから、圧倒的に男性に多い病気です。立ち仕事をするなど腹圧がかかる人、スポーツ選手がかかりやすいと言われています。加齢によって内臓を支える筋力が落ちることも原因のひとつです。女性ではお産の時に腹圧のかかった経産婦が多いですね」

 自覚症状はないのだろうか。

 「太もものつけのあたりがポコッと出てしまっていることが一番多いですね。指で押すと引っ込みます。胃が痛いということもありますが、内科で検査してもなかなかわからないのです。胃から腸をカバーするようにエプロン状に垂れ下がっている腹膜・大網(だいもう)が飛び出すことが多く、すると胃袋がひっぱられて胃痛を起こすのです。大腸や小腸が飛び出すこともありますが、8割方が大網です」

 「鼠蹊ヘルニアの治療法は、手術以外ありません。ヘルニアバンドを付けて押さえている方もいますが、外すと元通りに飛び出すので、この方法は治療とは言えません。飛び出した腸が元に戻らなくなり周囲に締め付けられ壊死してしまうこともある嵌頓(かんとん)という状態は、緊急手術が必要です。ここまで行く人はかなり低い割合です。しかし、鼠蹊ヘルニアを放置しておくと、加齢とともに飛び出す量がどんどん増えていきますので、外科的に戻してやる必要があるのです」

開腹手術でも30分以内に終了

執行友成(しぎょう・ともしげ)

東京ヘルニアセンター・執行クリニック院長、神楽坂DSマイクリニック院長、日本短期滞在外科手術研究会代表世話人。1952年、東京生まれ。1981年、東京医科大学卒業後、東京警察病院外科に入局。1991年、執行クリニックを開院。1998年には神楽坂訪問看護ステーションを、2001年には神楽坂ヘルパーステーションを開設するなど、在宅医療にも深く関わる。2003年に神楽坂DSマイクリニックを開設。著書に『鼠蹊ヘルニア(脱腸)は、入院しなくても治る!』(如月出版)がある。

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