ちなみに、イリノイ大学の別の調査では、ファストフード、ファミリーレストラン、カフェテリア、高級レストランといった業態にかかわらず、外食は家食より1回あたり平均200kcal熱量が多くなることが判明している。
「たかが200kcal」かもしれない。しかしこれが1週間に数回となると合計でかなりの熱量になる。頻繁に繰り返すと、1年後には体重が数kg増ということにもなりかねない。
日本では欧米に比べると極端な肥満は少ないが、厚生労働省の「国民健康・栄養調査」によると、男性の場合ほとんどの世代で10年前、20年前から肥満者の割合が増えている。特に40代~60代男性の肥満者は3人に1人、女性も60歳以上では4人に1人が肥満だ。
それとリンクするように、日本人の外食や加工食品(総菜、弁当などの中食含む)にかける費用は年々増加している。平成2年は、食費に占める生鮮食品の割合が24.3%なのに対し、「外食+加工食品」は75.7%。ところが、15年後(平成17年)には「外食+加工食品」が81.7%、生鮮食品は18.4%と変化した。
20~30年前とは比べものにならないほど、外食は身近でリーズナブルなものになった。その結果、肥満の増加があり、「食の低価格化」には「低栄養価」が潜んでいる。生鮮食品を用いて手作りする家庭料理のほうが、結局は栄養的価値が高く、経済的だと指摘する専門家もいる。
便利になったがゆえに、「食」に費やす労力が減ってしまった時代だからこそ、手料理を楽しむことをより意識すべきなのかもしれない。
(文=編集部)