そもそも、皮膚のシワはどうしてできるのだろうか。
皮膚は3層(肌表面から表皮・真皮・皮下組織)で構成されている。表皮は約0.2mm、真皮でも2mmほどの薄さだ。シワには、主に表皮の機能低下によって発生する小ジワと、真皮の機能低下によって発生する深いシワがある。深刻な深いシワの原因は、皮膚の弾力を保つ真皮層にあるコラーゲンが減少や弾力が失われることによる。
肌のハリや弾力のもとになるのが、コラーゲンとそれを束ねるエラスチン。そして、これらの隙間をヒアルロン酸が満たしている。そこで「これらの成分を補給すればいいのでは」と考えるかもしれない。
だが、これらの成分の配合された化粧品を皮膚に塗っても、真皮層が修復されることはない。分子量としては大きいため、真皮層まで浸透しないからだ。 ただし、水分を保持する能力が高いので、表皮層の乾燥は防ぐかもしれないが。
また、食品として摂取しても、消化吸収の段階でペプチド、アミノ酸に分解され、真皮層にコラーゲンなどがそのまま補給されるわけではない。「コラーゲンを食べてプリプリの肌」という宣伝文句は、残念ながら科学的な根拠がないといえる。
皮膚コラーゲンにダメージを与える紫外線と糖化
真皮層のコラーゲンは、紫外線にあたると小さく切断され、エラスチンを変性させる酵素が分泌され、皮膚が弾力を失いたるみやシワとなる。そのため、紫外線予防はシワ対策の基本だ。
そして近年、老化促進の要因として注目されているのが、過剰な糖質が引き起こす「糖化」と呼ばれる現象だ。糖化とは、体内のタンパク質や脂質が糖と結びつき変性すること。タンパク質と糖質が結合すると、「AGEs(終末糖化産物)」という老化物質ができる。
糖を取り過ぎると、血中に余分な糖が増え、赤血球のタンパク質・ヘモグロビンと結合し、AGEsが発生する。糖化したヘモグロビンは全身に酸素を運べなくなり、体中の細胞が低酸素状態に陥り、新陳代謝が低下。これが進むと、体内のあらゆる部位にあるコラーゲンにAGEsが発生する。
食事で糖質を取り過ぎると、エネルギー源として代謝されずにタンパク質と結合し、老化が加速するわけだ。糖質を控えることは、肥満や糖尿病の治療だけでなく、糖化を防ぎアンチエイジングにもつながる。コラーゲンを食べるよりも、こちらのほうが有効なシワ対策だろう。
(文=編集部)