体内では起きる"パンケーキ化"が老化の原因に?
多くの人が、いつまでも「美しく」「若々しく」ありたいと願っている。そう見られるための大きなポイントの一つは、やはり肌の"張り"や"みずみずしさ"だ。
皮膚を老化させる原因としては、紫外線や乾燥などの影響が知られている。これらに加えて話題になっているのは、糖(グルコース)がタンパク質や脂質と結合する「糖化反応(メイラード反応)」だ。この発見自体は意外と古く、1912年にフランスの科学者L・C・メイラードが提唱したことから名づけられた。
身近にあるわかりやすい糖化は、たとえばパンケーキの表面にできた茶色の焼き目や、保温器の中のご飯が黄ばんで硬くなる現象などもそうである。実はこれと同じことが、人間の体内でも起こる。
皮膚にあるコラーゲンなどのタンパク質に糖化反応が起きると、AGEs(終末糖化産物)が産生される。AGEsは硬化変性を伴うため、肌が茶褐色に変色し固くなるのだ。
皮膚を構成する主要な成分であるコラーゲンはタンパク質でできている。その形状は、バネのような構造をしており、それによって肌は弾力性を保っている。しかし、このバネの役割をしているコラーゲンが糖と反応すると、肌は硬くなって弾力を失ってしまう。
加齢とともに起きる皮膚の老化には、赤みの減少や黄みの増加、明るさの低下などがある。その結果として、肌にくすみが生じる。その主な原因となるのは、シミなどの色素沈着や血流の低下、角質層の肥厚、そしてタンパク質の変性(酸化・糖化)だ。
アンチエイジングの世界では、過剰な活性酸素が皮膚を酸化させることを"サビ"と呼ぶのに対し、糖化反応は"コゲ"といわれている。
糖尿病や高血糖の人は年齢より老けて見える!?
私たちは、主に食物中の炭水化物(糖質)を分解することでエネルギーとしている。健康な人の場合、食後2時間以降は血中のグルコース(ブドウ糖)の濃度(血糖値)は100~140mg/dlに保たれている。
糖化反応とは、体内で糖が過剰に存在し、行き場をなくした過剰な糖が体の中のタンパク質と反応してしまった状態だ。AGEsの量は、血糖値およびグルコース、タンパク質に影響される。そのため、糖尿病や高血糖の人は、健康な人に比べてAGEsの量も著しく多くなり、皮膚の弾力低下や肌のくすみが起きやすく、年齢より老けて見えると考えられている。
では、糖類の摂取を減らせば、糖化反応を食い止められるのだろうか。実際には反応経路が複雑で、AGEsにも多くの種類があり、そのすべては解明されていない。単に糖類の摂取を制限するだけでは、解決できないようだ。
抗糖化で予防を行い若々しい肌を保つ
すでに蓄積されたAGEsは分解しづらいため、日常生活での心がけが重要となる。現在提唱されている糖化反応の予防(抗糖化)には、次のようなものがある。
1.糖代謝を促進するといわれる鶏肉や豚肉、ピスタチオ、キュウリ、サプリメントならビタミンB1、B6などを積極的に摂取する。
2.血糖値の急上昇を抑えるため、食物繊維(野菜など)、タンパク質(肉類)、最後に炭水化物(ご飯やパンなど)の順番で食べる。
3.就寝前に血糖値を上げないようにする。
これらの抗糖化とともに、抗酸化作用のあるポリフェノールやカテキンなどを含む食品も意識して食べると、肌のアンチエイジングに有効だ。
(文=編集部)