福山雅治の主演映画で注目された"赤ちゃんの取り違え" 防止策は「呼び名」が決め手!?

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 『Pediatrics』(オンライン版7月13日)に「病院で新生児に用いる名前をなるべく明確にすることで、取り違えミスを約3分の1減らせる」という新たな研究報告が掲載された。

 研究の筆頭著者である米モンテフィオーレ・ヘルスシステム(ニューヨーク)のJason Adelman氏によると、米国の病院では通常、新生児に親がつけた名前を用いず、「Babygirl Jackson(ジャクソン氏の女児)」や「Brendasboy Jones(ブレンダ・ジョーンズの男児)」のような呼称を用いているという。

 これは、出生直後の記録や名札の作成時点で親が子の名前を決めていないことがあり、入院中に記録を変更するのは混乱を招くためだ。Adelman氏が以前、全米339カ所の新生児集中治療室(NICU)を対象に実施した研究では、約82%の病院が「姓+男児/女児」の呼称を用い、18%はさらに明確に「母親の氏名+男児/女児」を用いていた。

 医療ミスの約11%は患者の取り違えによるもの。「多くの人は『姓+男児/女児』のみの呼び方に問題があると感じていたが、人はミスを報告したがらないもの。そのため、この件も報告されにくかった」とAdelman氏は述べている。

明確な呼称の導入でミスが36%低減

 今回の研究では、ツールを使用して、院内指示が出された後10分以内に取り消され、さらに10分以内に同じ医師が別の患者を対象に指示を出したケースを追跡した。

 まず、「姓+男児/女児」の命名法を用いていた、米モンテフィオーレ医療センター(ニューヨーク州ブロンクス)のNICUで1年間の追跡を実施。その後、同院は「母親の氏名+男児/女児」の命名法を導入し、双子や三つ子の場合は頭に番号をつけるようにした。さらに1年間追跡したところ、変更後はミスが36%低減した。

 ミスの低減が認められた理由として、医師らは新生児の命名法が変更された理由や、ミスが追跡されていることを知っていたため、普段よりも注意深くなっていたことでミスが減った可能性もある。だが、それでもこの知見によって、多くの病院で明確な呼称の導入が促進されることを期待するとAdelman氏は述べている。

 しかし、米ニュートンウェルズリー病院(マサチューセッツ州)の小児科医Clay Jones 氏は、患者の取り違えミスは深刻な結果をもたらす可能性があるとする一方、今回の研究から明確な結論を導くことはできないとも指摘している。

 医療事故のどんなに細心の注意を払っていても人の能力には限界があり,エラーを完全になくすことはできない。事故防止のためのインシデント・ヒヤリハット事例を集め、「もしもの事態」をいくら想定したとしても、ヒューマンエラーは絶対になくならない。だが、今回の研究によって、より有効な防止策が生まれ、患者のリスク軽減につながれば何よりだ。
(文=編集部)

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