腰椎破裂骨折から復活した「ずん」のやすさん(右)(写真は所属事務所の公式プロフィールより)
2012年2月、「とんねるずのみなさんのおかげでした」(フジテレビ系)の新潟県内のスキー場での収録中に、ゲレンデを水上スキー用のゴムボートで走行、スピードが出過ぎていたため雪で作った停止点で止まることができず、その先のトタンに腰を強打して、腰の骨を折る大けがを負ったお笑い芸人「ずん」のやすさん。腰椎破裂骨折と診断され、全身麻痺で体は殆ど動かせず、一時は復帰も絶望視されていたが、その後、順調な回復を見せた。そして同年8月、舞台で仕事に復帰した。
事故が起きた当初は、麻痺が残ったり、車いす生活になる可能性も危惧されたが、後遺症もなく復帰。激しい動きや飲酒などは禁じられていたが、舞台では自らの両足でしっかり立ち、歩くことのできるほどに回復した。
麻痺が残り完治しないケースもある
腰椎破裂骨折を侮ってはいけない。ずんのやすさんは無事に復帰できたが、症状がかなり重いこともある。藤田保健衛生大学七栗サナトリウム病院長・園田茂先生は次のように語る。
「背骨は頸椎、胸椎、腰椎に分かれます。それぞれ、神経の束である脊髄の前側にある椎体、後ろ側に位置する椎弓・棘突起に分かれます。椎体の骨折のうち、椎体の後壁、すなわち脊髄に接するところまで骨折している場合を破裂骨折と呼び、不安定な状態です。不安定だと、骨折が癒合しない(偽関節と呼ばれます)場合があり、これが完治しないケースに当たると思われます。もうひとつ、破裂骨折では神経の障害を伴うことがあり、神経損傷による麻痺が治らないという意味でも完治しないことがあります」
軽度の症状(多少の疼痛)と、重度の症状(激しい痛みなど)によって、リハビリプログラムが異なる。「疼痛からリハビリプログラムが決まるわけでは無いので答えにくい」という園田先生に、敢えてリハビリのプログラムを挙げてもらった。
「まず、手術適応で手術をしたかどうか、その手術で安定が得られたのかどうかによって大きく話が変わってしまいます。手術するかどうかは、麻痺の存在や、脊髄の圧迫、破壊の程度、不安定の程度などで判断されます」
手術で安定が得られた場合は、次のようにリハビリが推進される。
「運動麻痺などの神経症状が無くて済んだのであれば、コルセットを装着して術後1週程度から歩行訓練を開始が出来たりもします。その場合、コルセット自体は4ヶ月程度の装着が必要です。コルセットの種類(硬性、半硬性、軟性)による違いは、意見が分かれていて一致した見解がありません」