肺の扁平上皮がんと喉頭がんが合併することは少なくない。重喫煙という共通の特徴があるためだ。
「喉頭がんは一般に、予後(タチ)のいいがん。喉頭は軟骨という硬い壁に取り囲まれた空隙にあり、がん細胞も広がりにくく、声帯に発生することが多いので、声のしわがれなど、症状が出やすく早期発見されやすい」。
「早期発見の喉頭がんは、手術で喉頭を取らずに放射線治療で完治することも多い。声帯以外にがんが発生すると、発見が遅れ、喉頭全摘術が必要になることがある。そうなると声を失い、食道発声法を訓練しなければならなくなります。生活の質(QOL)が著しく損なわれるので、なるべく避けたい治療法です」
「肺がんの検診には、胸部エックス線写真撮影と痰の細胞診があります。細胞診は、痰のなかに紛れ込むがん細胞を顕微鏡で見つける方法。細胞検査士がスクリーニングした後、病理医が最終的に『細胞診断』します。タバコに誘発されて肺門部にできる扁平上皮がんは、この細胞診で見つかりやすい」
「喉頭がんや肺がんを避けるには、何と言っても喫煙しないこと。日本人男性の喫煙率が高いことは世界的に悪名高い。受動喫煙の問題も生じます。また、がんだけでなく、肺気腫(肺がぼろぼろになって呼吸困難をきたす)の原因となり、動脈硬化を増悪させて心筋梗塞をもたらします」
最後に堤教授は、「SMAPファンで喫煙している方は、これを機にタバコをあきらめませんか」と禁煙を勧めている。
(文=編集部)