マイナンバー制度は時代錯誤! 税金や年金、健康保険などの個人情報の漏洩や不正使用は防げるか?

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 ところが、個人情報を一元化するマイナンバー制度は、登録したICカードをさまざまな分野で利用する。

 これは、すべての印鑑を実印に一本化して、用途に関わりなく流用するのと同じだ。悪用や情報漏洩のリスクが強まるのは、火を見るより明らかだ。市職員、国税庁職員、警察官などが情報漏洩の疑いで、逮捕されたり起訴されたりしている。こうした公務員による情報の不正利用の不安もぬぐい切れない。

 マイナンバー先進国、アメリカを見よう。ソーシャルセキュリティーナンバー(社会保障番号)制度を導入しているアメリカでは、他人のナンバーを盗んで金融機関で借金をしたり、不法移民が職を得るためにナンバーを盗んだり、死んだ家族に成り済まして年金を受け取るなどの不正利用やID詐欺が多発している。全米で年間1000万人が被害に遭い、500億ドル(約5兆円)もの損失が出ているという。

 アメリカ国防総省は、国防上の観点から職員や家族に独自の番号を採用したり、州法で社会保障番号の利用を制限したり、米国全体でも不正利用を防ぐため利用範囲を限定する検討段階に入っている。英国は導入2年で制度の廃止を決定。ドイツは税分野に限定、なりすまし犯罪を防いでいる。

 このような世界の個人情報保護のトレンドから見ても、マイナンバー制度の時代錯誤は明らかだ。マイナンバー制度は、住民基本台帳の住民票を基に個人情報を管理する。だが、さまざまな理由で住民票の住所に居住しない人、住民票さえない人(多重債務者やDVから逃れている妻子など)は、公的サービスからオミットされる懸念も捨て切れない。社会的弱者を排除する非人道性もはらんでいる。

 しかし、次の点は大切だ。10月に各市町村から送られて来る通知カードは、マイナンバーとは違う。あなたが、IC付きの個人番号カードを希望しなければ、マイナンバーは振られない。つまり、通知カードを受け取らなかったり、受け取っても申請手続をしなければ、IC付きの個人番号カードが発行されることはない。

 ただ、年金、雇用保険、医療保険の手続、生活保護、児童手当、その他福祉の給付、確定申告などの税の手続などで、申請書などにマイナンバーの記載を求められたり、勤務先、保険会社、金融機関からマイナンバーの提出を求められたりするケースがあるのは確かだ。

 安倍政権は、預金口座への適用拡大も視野に入れている。社会保障給付の資力調査や税務調査などに活用するのが狙いだが、任意という。だが、2021年をメドに義務化する計画がある。

 これだけ問題の多いマイナンバー制度。ほんとうに生活に必須の制度なのか? 公平・公正な社会になるのか? 

 安全保障関連法案を強行採決し、その模様をNHKに中継させない。そんな政権の言うことはあなたは信じられますか? あなたはIC付きの個人番号カードを申請しますか?
(文=編集部)

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