危ない加糖炭酸飲料shutterstock.com
砂糖入りの炭酸飲料や甘い乳飲料が好きな人は体重に関わらず2型糖尿病発症リスクが高いが、これらの飲料を1日1杯、水や無糖コーヒー、無糖紅茶に置き換えると同リスクが最大25%減ることが分かった。
英ケンブリッジ大学Nita Forouhi氏らによる研究結果で、「Diabetologia」オンライン版に4月30日掲載された論文。
Forouhi氏は、今回の研究結果はソフトドリンクが直接糖尿病の原因になると証明したものではないが、因果関係を示唆する強力な例だと説明。「砂糖摂取を制限すべきだという世界保健機関(WHO)の最近のガイドラインを強く支持するものだ」と述べている。
検討では、中年以上の英国成人2万5,000人の詳細な食事記録を分析した。登録時に糖尿病を発症していた人はおらず、その後10年間で847人が糖尿病と診断されていた。
分析の結果、加糖炭酸飲料や加糖乳飲料の摂取量が全体として多いほど、糖尿病発症リスクが高まることが明らかになった。1日1杯の摂取量増加は糖尿病リスクを22%押し上げていた。
甘い飲料を好む人は糖尿病リスクを高めるほかの生活習慣も持っている可能性もあるが、体重、運動、教育レベルなどの因子を調整しても同じ関連が認められた。
検討ではまた、この問題へのシンプルな解決法も示された。加糖飲料を1日1杯、水や無糖コーヒー、無糖紅茶に置き換えたとして推計すると、糖尿病発症リスクが14%から25%も減ったのだ。
同研究では人工甘味料で甘くした飲料に同じ便益があるかどうかは不明だったが、Forouhi氏らは、ダイエット飲料を好む人は肥満か糖尿病家族歴があることが多いということは、糖尿病リスクの高い人は人工甘味料入り飲料を選んでいると示唆されるのは明白である、と説明している。
加糖炭酸飲料は寿命をも縮めてしまう
米国栄養・食事療法学会(AND)の広報担当者で、糖尿病管理予防のための食事計画を専門とする栄養士Toby Smithson 氏は、この知見のメッセージは率直に「飲料のカロリーに注意すべきと思い出させてくれたこと」だと述べている。
たとえば、1杯のチョコレートミルクのカロリーは一般的な成人が1日に必要とするカロリーの9%に相当する。牛乳は蛋白、カルシウムなどの栄養源となるが、甘味を加えるための砂糖はエンプティカロリー(カロリーになるだけで栄養にはならない食品)だ。12オンス(約355mL)の加糖炭酸飲料はすべてエンプティカロリーで、1日に必要なカロリーの7%を占める。
この研究結果に対して、米国飲料協会(ABA)は加糖飲料を非難することへの異議を表明。「米国栄養食事学会などの代表的な保健機関は2型糖尿病リスクとして過体重、肥満、民族、加齢、運動不足、糖尿病の家族歴を挙げているが、飲料摂取はそれに含まれていない」と述べている。
Forouhi 氏とSmithson氏はともに、加糖飲料を水や無糖コーヒー、無糖紅茶に替えることが食生活から砂糖を減らす簡単な手段だ、と指摘。
Smithson氏は、水が味気無さすぎると感じるならレモンかライム、オレンジを一切れ入れる、紅茶であればシナモンスティックを沸騰したお湯に入れてから煎れると砂糖なしでも甘味が出る、と助言している。
(HealthDay News 4月30日)
別の研究では、加糖炭酸飲料を毎日のように摂取することで、健康な細胞の老化原因とされるテロメアの短縮が起こり、代謝性疾患の原因となる可能性が指摘されている。(http://ajph.aphapublications.org/doi/abs/10.2105/AJPH.2014.302151)
この研究の対象は糖尿病や心血管疾患の病歴のない20歳~65歳の米国人5,309名。加糖炭酸飲料を摂取する人はテロメアが短く、100%果汁を摂取する人はテロメアが長かった。研究チームでは、20オンス(約591ミリリットル)の加糖炭酸飲料を毎日摂取することで、余分に4.6年分の老化が進むと試算。影響は喫煙に相当するものだという。
いずれにしても自分の健康に気を使うのであれば、1日1本の加糖炭酸飲料を控えることからはじめたい。
(文=編集部)