医療法人のグローバル化を阻む"壁"が、日本の医療を衰退させる

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日本の医療のグローバル化は無理なのか?shutterstock.com

 ビジネスや教育の現場で「グローバル化」という言葉が当たり前のように語られる中、グローバル化が求められていながら、その実現に大きな壁が立ちはだかっている分野がある。それが医療の分野だ。

 日本の医療シーンを見ていると不思議に感じるのが、医療法人が海外進出したり、海外の医療法人が日本に進出したりするということがない点だ。日本の優れた医療技術が海外で活躍したり、日本人が海外の医療技術に助けを求めたりすることに、非常に高いハードルがある。海外から人材を日本に留学させて看護師として教育したり、海外から患者を日本に誘致したりするといった動きはあるものの、それはあくまで私たちの受診と同じように日本の医療機関で、日本の医師による、日本の医療を受けさせることを目的としたものに過ぎない。

 こうした日本の医療の課題について、SBCメディカルグループ代表の相川佳之氏に話を伺った。国内に42拠点のクリニックを展開するSBCメディカルグループは、2014年10月にベトナムのホーチミン市に美容外科医院を開院。国による制度の違いという高いハードルがある中、海外展開を積極的に展開している。一筋縄ではいかない"医療の海外進出"について、その難しさを聞いた。

6年前の挫折 ― 上海での事業失敗から何がわかったのか

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 日本の医療が海外に進出していかなければならない背景について、相川氏は「今後、日本は人口が減り、医療分野のマーケット規模も縮小していく。若い医療従事者たちが今後成長していくためには、日本から海外に進出していかなければならない」と語る。同氏によると、SBCメディカルグループの海外進出はこれが初めてではなく、6年前に一度中国の上海への進出を試み、そして1年半ほどで撤退するという挫折を経験しているのだという。

 中国では、一般企業の場合と同様に、海外法人が進出する場合には現地法人と合弁で開院しなければならないという制度上の制約があり、SBCメディカルグループは当時赤字経営だった現地のクリニックを買収する形で上海に進出した。しかし、元の医院が抱えていた膨大な赤字の解消、上海万博開催による物価・賃料の高騰、現地クリニックのスタッフのマネジメントなど、多くの課題に悩まされ、事業を軌道に乗せることができなかったのだそうだ。

 加えて相川氏は、「国の許認可が不可欠である医療分野では、国の許認可機関とのコネクションがあるか否かも大きなポイントだった」と語る。再挑戦となったベトナムでは合弁開院ではなく完全な新規開院となったが、国の許認可が降りず開院には1年半の時間を要したそうで、「たまたま国にコネクションがある人物と繋がりを作ることができ、そこからあっという間に認可に向けて動いた」と相川氏。医療法人が海外に進出するためには、海外の医療制度への理解だけでなく、許認可機関とのパイプを作っていくことが重要なのだそうだ。

 中国での失敗から、再挑戦の地にベトナムを選んだ相川氏。ベトナムを選んだのは、風土の良さだけでなく、アジアの中でもカンボジア、ミャンマーと並んで日本の医師が日本の医師免許で活動を許されている数少ない国のひとつなのだという。加えて、中国のように合弁開院する必要がなく、ゼロから病院作りができる点も大きいという。「ベトナムでは(中国と違い)独自資本で展開できる分、自分たちの理念や事業計画のもとで病院を作ることができ、やりやすさがある」(相川氏)。

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