韓国で話題のβカロテン増強の"ニュー白菜"は、本当に抗がん効果があるのか?

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 韓国の伝統料理と言えば、日本でも焼肉店などで提供されるキムチを思い浮かべる人は多いはずだ。そのキムチには様々な材料が使われるが、日本でもなじみ深いのは白菜。今、韓国でその白菜についてあるニュースが話題を呼んでいる。通常の白菜よりも抗がん作用が高いとされる白菜の開発に成功したというのだ。

 この白菜は、韓国の研究者がカブとの交配で新たに開発した品種で、栽培自体は通常の白菜と何ら変わらないという。では抗がん作用とは何か。カギを握るのは、ニンジンに多く含まれる赤橙色色素の1種としてよく知られているβカロテンだ。 

 もともとがんの発症については、体内の酸化作用が大きくかかわっているとされるが、βカロテンはこの酸化作用に対抗する抗酸化作用を有し、従来からがん予防に有効な可能性があると指摘されてきた。冒頭では抗がん作用と書いたが、これはあくまでがん予防効果が主である。そして今回開発された新種の白菜には、通常の白菜の4倍以上のβカロテンが含まれるという。

βカロテンはどれだけ摂取するべきなのか

 開発のヒントはこの研究者のオランダ滞在時の経験。現地で住民たちが、がん予防と称してカブを多く食べることを見聞きしたからだ。実際、カブはニンジンほどでないがβカロテンが多く含まれているのは事実。もっともβカロテンを多く含むのは一般的に食される根の部分ではなく、葉である。これを交配により白菜の葉に多く含まれるようにしたというわけだ。

 そしてここにきて、韓国の国民や韓国料理を好む人たちにとっては別の喜ばしい報告も明らかになってきている。韓国食品研究院食品分析センターが韓国伝統酒・マッコリにβカロテンと同じく抗酸化作用を有するスクアレンが、ビールやワインより50~200倍多く含まれているとの研究を発表したからだ。ちなみにスクアレンはサメの肝油に含まれる成分として日本で初めて発見されたもの。

 つまり、キムチをつまみながらマッコリで一杯やるというのは理想的ながん予防効果が得られるということになるが、ここには注意が必要。まずβカロテン、スクアレンとも抗酸化作用はあるとのミクロな実験レベルのデータはあるものの、それが直接がん予防効果にまで確実に及んでいるかどうかはまだ十分に証明しきれていない。

 また、βカロテンについては単独での抗酸化作用は十分とは言えず、他のビタミンなどとの同時摂取が望ましいとのデータもあるほか、血中コレステロール値などが高い脂質異常症の患者が服用する脂質異常症治療薬は、βカロテンとの同時摂取で薬の作用を弱めることが明らかになっている。しかし、喫煙者が過剰摂取すると逆に肺がんなどのリスクを高めるとの報告もあるが、肺がんリスクについてはリスクが高まるとは言えないとする研究もあり、決定的なエビデンスは確立されていない。

ではいったいどれぐらいのβカロテンを摂取したらいいのか?

 実は、欧州食品安全機関 や米国食品栄養委員会は、単離β-カロテンの許容上限摂取量(UL)のための正確な数値を設定できない。つまりすヒトの介入試験による十分な科学的データが入手できていないと結論付けている。

 分からないときに賢い人間はどうするのか、何事もほどほどが肝心だということだ。

(文=編集部)

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