インタビュー 「介護離職」を食い止める! 第3回 NPO法人 介護者サポートネットワークセンター アラジン理事長  牧野史子

一人で抱え込めば負のスパイラル..."ケアラーズカフェ"に行ってみよう!

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生きた口コミ情報が得られるケアラーズカフェ

 上司や部下だけでなく取引先からも人望の厚かった有能な社員が、退社しなくてはならなかった理由は親の介護だった――。

 いまビジネスの世界で問題になりつつある「介護による離職」。これを食い止めるにはどうしたらよいのか? 介護者の支援事業を行うNPO法人「介護者サポートネットワークセンター アラジン」の牧野史子理事長に話を聞く。

 「5、6年前でしたでしょうか。私たちの事務所にツイッターのような短いメールがポツポツ入ってくるようになりました。それは若年性認知症を患っている母親の介護をしている20代女性からのものでした。仕事のこと、お金のこと、恋人や結婚のこと、将来のこと。悩みは多岐にわたり、ご本人も病気になっているようでした」

 これらは一見、介護の悩みのようでいて、実は人生に対する悩みや不安なのだ。中高年でも、悩みは介護そのものではないことが多い。自分ばかりがなぜこんな目に遭うのか、いつまでこれが続くのかなど、その悩みは決して行政の支援制度では救えないものが多い。

 「だからこそ、同じ悩みをもつ人たちが集まって話ができる場が必要なのです。そこで、すぐに "娘さんが集まるサロン"を開始しました。インターネットで『ケアラーズカフェ』と入れて検索してみてください。あなたの住む地域にも、介護する人たちが集まる場所が見つかるはずです」

生きた口コミ情報が得られる地域のリビング

 

 ケアラーズカフェに集う人たちと話をするなかで、これまでの介護経験をから、さまざまな情報や生活の知恵を得ることができる。介護と仕事を両立している人からは、仕事を辞めずに続けるための生きた情報を得ることができるだろう。なかには必ず世話焼きの人がいて、「そんな場合はここに行きなさい」「このケアマネに頼むと間違いがない」などと教えてくれることもある。

 「自分の"がんばり"を他人にほめてもらえることもあるでしょう。特に男性は、『これだけがんばっているのだから評価してほしい』という成果主義的な面があります。それだけでも、かなり元気が出るのではないでしょうか」

 こういったカフェは、非常に多くのことを学べる「地域のリビング」とも呼ぶべき場所だ。こうした居場所をもっているか否かで、介護生活の質が変わってくるだろう。

全ての制度や資源を使い、できる限り仕事を辞めない

 仕事を辞めるか否かというギリギリの選択を迫られたとき、同じ悩みをもつ者が集うケアラーズカフェは味方になってくれるだろう。牧野理事長は、できるだけ離職しないことを勧めている。

 「仕事を辞めると、一時的に楽になります。職場の人に迷惑をかけているという罪悪感や、介護との両立のストレスから解放されますから。それに親子の場合、2人きりでいられるのはうれしいものです。でも、一人で介護していると次第に社会から隔絶されているように感じて、自分が追い詰められてしまう。それが虐待などにつながることもあるのです」

 大切なのはバランスだ。たまには介護から離れて"自分でいられる時間"を作ろう。仕事に没頭している時間があるからこそ、介護をがんばることもできる。職場の理解を求めながら、介護にかける時間を調整することだ。

 そして、地域行政の支援制度、ケアラーズカフェといった地域の資源、会社の介護休業制度など、使えるものは全て使い、できる限り仕事を辞めずに介護を続けていこう。

NPO法人 介護者サポートネットワークセンター アラジン
*アラジン「心のオアシス」(電話相談)専用ダイアル/03-5368-0747(毎週木曜 午前10:30~午後3:00)


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牧野史子(まきの ふみこ)
千葉大学教育学部卒。小学校教員を経て、阪神大震災の際は仮設住宅高齢者支援活動に携わる。2001年に東京で介護者の孤立に取り組む「介護者サポートネットワークセンター アラジン」を設立。代表理事。このほか、NOP法人「若年認知症サポートセンター」理事、「一般社団法人 日本ケアラー連盟」代表理事、市民福祉団体全国協議会常務理事も務める。

牧野史子(まきの・ふみこ)

介護者サポートネットワークセンター アラジン代表理事。千葉大学教育学部卒業後、小学校教員を経て、阪神大震災の際は仮設住宅高齢者支援活動に携わる。2001年に東京で介護者の孤立に取り組む「介護者サポートネットワークセンター アラジン」を設立。このほか、NOP法人若年認知症サポートセンター理事、一般社団法人 日本ケアラー連盟代表理事、市民福祉団体全国協議会常務理事も務める。

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