●歯間ブラシやフロス使わずに「歯を磨いた」とは言えない
歯周病の予防はもちろん、治療においても、歯科医任せでは済まない。本人が毎日、きちんと歯を磨いて、歯垢=プラークをコントロールすることが欠かせない。
しかし、毎日しっかり歯を磨いているのに虫歯になったり、歯周病になったりする人が少なくない。一体、なぜだろうか? それは歯を磨いたつもりになっているだけで、本当に正しくは歯を磨いていないからだ。
歯ブラシの使い方にも問題があるが、それ以前に、一番大事な歯と歯の間を磨いてない人がまだまだ多い。食べ物カスなどが最もたまりやすい場所は歯と歯の間。歯周病は必ずといっていいくらい、歯と歯の間から始まる。特に中年以降、歯茎がやせて、下がってくると、歯の間が空いてくるため、歯の間をしっかりと磨くことが重要になってくる。歯ブラシを使わない日はあっても、歯間の清掃を欠かさない日はない...歯科医など歯科関係者にはそういう人が多い。歯と歯の間の清掃さえきちんとすれば、ほとんどの歯のトラブルが防げるといっても過言ではない。
しかし、歯ブラシでは歯と歯の間の歯垢は落としきれない。歯間ブラシやデンタル・フロスなどの歯間部清掃用器具を使う必要がある。 厚生労働省による「21世紀における国民健康づくり運動(健康日本21)」においても、成人期の歯周病リスク低減の具体的な目標として、歯間清掃用具の使用者の増加を挙げているくらいだ。厚生労働省の推進により、1993年には歯間部清掃用器具使用者は2割に満たなかったのが、だいぶ増えてきたとはいえ、2010年時点の調査で、まだ半数には満たない。使い始めたものの、使い方がよくわからずに、使用をやめてしまうことも少なくないようだ。
歯を隅々まできちんと磨くにはデンタルフロスがいい。弾力のある細い糸のようなもので、両手の指に巻きつけて、間のフロスを歯と歯の間に通して、フロスを歯にひっかけるようにして上下に動かして、歯の側面を磨く。コツがあるので、デンタルフロスのメーカーのサイトなどで使い方を覚えるといい。出血にびびってやめてしまう人もいるようだが、力任せに歯間に挿入して、歯茎を傷つけた場合以外は、出血するのは既に歯周病が進んでいる証拠だ。
虫歯治療などにより歯と歯が連結されている場合など、歯と歯の間に糸を通せない場合などには歯間ブラシを用いる。歯間ブラシで大事なのはサイズ選び。無理なく歯間に通せるサイズを選ぶ。爪楊枝のように歯の間に詰まったものを取って満足してはいけない。歯ブラシで磨くのと同様に、しっかりと磨くことが大切だ。
いずれにせよ、歯周病を予防する歯の磨き方は自己流ではなかなかできない。歯磨き指導をしてくれる歯科医を探して、一度きちんと正しい歯磨きを教わるのがおすすめだ。
(文=編集部)