「アートメイク」は入れ墨とはどこが違う? 健康被害続出で無資格者摘発のケースも

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日常の化粧直しが楽になると評判だが...

 汗はもちろん、顔を洗っても落ちない眉やアイライン――。この数年、女性たちの人気を集めている「アートメイク」である。

 アートメイクは、針を使って顔面に色素を注入し、眉や目元などをくっきりさせるものだが、唇に施す者も少なくない。「朝のゴミ出しも素顔でOK」「風呂上がりでも眉がなくならない」「汗をかくのが気にならない、スポーツに打ち込める」など、特におしゃれに敏感な若い女性の間で話題になっている。

 施術にかかる時間は、眉もアイラインも1時間ほど。麻酔を塗った後に、皮膚の浅い部分に色を入れていく。痛みは「ほとんどない」「がまんできる程度」という人が大部分だが、ときどき皮膚が腫れる人もいる。施術後は、日焼けなどで徐々に退色し、3年程度経過すると、かなり薄くなる。これが入れ墨との大きな違いだ。

 当初、施術を行っていたのは、いわゆるエステサロンなどで医師免許を持たない看護師やエステティシャンなどだ。しかし、厚生労働省はすでに平成13年11月、レーザー脱毛、化学薬品を用いたシミやシワの除去などの行為は医師法上の医業に当たると、都道府県に通知していた。医師免許を持たないエステサロンなどの従業員による施術で、健康被害が多発したからである。通知では、アートメイクは「針先に色素を付け、皮膚の表面に墨などの色素を入れる行為」となっているが、この時点ではアートメイクを施した者が告発された例はなかった。

 ところが今年3月、滋賀県の看護師が無資格で他人にアートメイクを施したとして書類送検された。客の一人が、まぶたなどの痛みを訴えたからだ。国民生活センターによると、アートメイクが原因で、腫れや痛みなどの健康被害を訴えてきた相談者は5年間(平成18~22年)で計111件あった。

●無資格でも入れ墨の彫り師は逮捕されない?

 ここで気になるのは、日本にも古くからある入れ墨である。アートメイクは皮膚の表皮に、入れ墨は真皮に色素を注入するという違いはあるが、彫り師は無資格なので医師法上は同様の扱いであるはずだ。それなのに、これまで国民生活センターへの相談も彫り師の摘発もほとんどないのが現状だ。

 これは入れ墨を施す者が暴力団員であることが多く、たとえ、彫り師にミスがあっても訴えないからだと考えられる。また、入れ墨は、日本の歴史や習俗に基づいたものであるという点も見逃せない。

 では、滋賀県の看護師の事件以来、アートメイクの人気はというと、これがまだまだ健在だ。日本国内では、医師が常駐する美容整形外科などがこれまでより高い料金で施術を行なっている。また、韓国では観光客が手軽にアートメイクを行えるように日本国内の半額以下で施術を行なっている。もちろん、多くは無資格者だ。日本からも旅行のついでにアートメイクを行う人は少なくないが、失明や重度の角膜障害をわずらったケースがあるという。

 いずれにしても、アートメイクを受ける側も、それなりの知識と覚悟が必要だ。今のところの防衛策は、安易に施術を受けるのではなく、医療機関や美容所登録をしている店を選ぶことだ。
(文=チーム・ヘルスプレス)【ビジネスジャーナル初出】(2014年10月)

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