第6波の渦中にあり、民間病院の院長が本音を吐露

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第6波発生、救急医療が危機的状況に

 現在オミクロン株によるCOVID19感染爆発の真只中にある。第5波を大きく超え週に4倍前後の増加速度となり、東京都も1万人を大きく超えている。確かに発熱外来では急激に患者数が増加しており、我々の処理能力を完全に超える勢いで感染増加が起きている。連日夕患者数の速報値と増加率、ベット使用率増加が報道されている。専門家は慎重な言い回しだが、デルタ株と比較し重症化率は低いが感染力は強く注意が必要だと言う。

 この点は全く同感だ。今回のオミクロン株によるCOVID19感染症は、ほとんど肺炎患者がいないか極軽症の肺炎患者が多い。重症患者の多くは基礎疾患を持つ高齢者とされている。

 しかし軽症だからと言っても咽頭痛が強く食事が出来ない、高熱で息苦しく感じる等で救急依頼や直接来院する患者も数多い。当院は民間救急病院であり第5波のピーク昨年秋に東京都知事と厚労大臣の連名による依頼でコロナ病床を増床した。

年末年始までは救急車受け入れ率80%まで上昇

 第5波では呼吸状態の急速な悪化により高次医療機関に転送をお願いするケースが少なからずあり、患者様、ご家族が高次医療を希望しない場合は当院で最後まで診させていただいた。第5波がほぼ終焉した際にコロナ病床返還を考えたが、その最中に南アフリカでのオミクロン株による感染爆発、欧州での感染拡大がニュースとなり、いずれは我が国にもオミクロン株によるCOVID19感染症が広がる恐れもあり閉鎖の判断は出来なかった。

 しかしその後も我が国では年末までオミクロン株によるCOVID19感染爆発は起きず、コロナ病床は有熱患者がCOVID19感染症で無い事を確認するまでの一時的な場所として使用していた。有熱患者を数日間隔離するのは、万が一同患者がCOVID19感染症であり大部屋(当院では6人部屋)に入院すれば全員が濃厚接触者となる。実際に第5波では同室者感染による院内クラスターが起きた。また担当看護師も濃厚接触者となり夜勤では多数患者を担当するため、多くの場合は病棟全体を閉鎖せざるを得ない。COVID19感染症は発症前に他者に感染させる可能性がある潜伏期間があるため、デルタ株なら2週間、オミクロン株でも10日間は新規感染者が出る事を想定しなければならずこの対応となる。

 発熱を有する若い世代の患者は体力があるためか、日中よりも夜間になり救急依頼をする事が多い。そのため救急病院は夜間に発熱患者受診と入院が多くなる傾向がある。

 明らかな原因がわからない発熱患者はコロナ疑似症例と呼ばれる。コロナ病床を多数持つ病院は、真のコロナ患者とこの疑似症例の導線を明確に分けることで受け入れられる。

 一方我々のような救急が中心の民間医療機関は、患者診療に使用する以外の余剰スペースは無いため、コロナ病床を増床するには通常診療用の病床を転用するしか無い。年末年始まではこのコロナ病床をワンステップ病棟として疑似症例に使い救急患者を受け入れた。年末年始までの救急車受け入れ率は80%まで上昇し、多くの救急患者を入院診療出来た。

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