不妊治療の「迷宮」から抜け出るために必要なこととは?

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ノンセックスでの妊娠をカップルはどう受け入れたのか

「心」「体」「技」の3章立ての本なのですが、第3章の「技」=リテラシーには、特別な意味があります。私が最初の本『妊娠レッスン』(主婦と生活社)を出版した2002年頃は、生まれてくる子どもの100人に1人が体外受精児でした。しかし現在では15人に1人が体外受精児となっています。

 言うまでもなく妊娠はセックスの結果として生じるわけですが、体外受精においてはノン・セックスで妊娠することになります。その時カップルはそれをどう捉え、どう思い悩み、どう受け入れていったのか、実例から心情が伝わると思います。医療従事者が、患者サイドの気持ちを思いやるという意味でも、診療科を問わず役に立つと思います。

 今回の本の執筆にあたり、私はいろいろな資料を調べましたが、体外受精の医療機関が、大都市、とりわけ東京都に密集していることに、とても驚きました。それで、本書では見開き2ページで、日本地図を載せ、都道府県それぞれの体外受精など高度生殖医療をおこなえる医療機関数を示しました。この地図は、私が常日頃感じている不妊治療への驚き、違和感が可視化されています

 そして最後に終章として、「働く女性へのエール」という章を加えました。今日、妊活につまずくカップルが増えているのは、女性の社会進出が進んだことと、結婚、妊活開始年齢の高齢化が、いわばコインの裏表の関係にあるからです。今の日本社会は、女性が労働市場で、優秀さ、勤勉さにおいて、男性に勝るとも劣らぬ活躍を示しており、女性力なくしては成り立ちません。

 そうした女性たちこそが、これからの社会を変えていき、そして仕事も子育てもしやすい「ワーク・ライフ・バランス」→「ライフ・ワーク・バランス」社会を推進する原動力になって欲しいと願います。

 私自身、妊活・不妊ということに関わってきて、ここ数年少子化ということを真剣に考えるようになりました。そして最近になって思うことは、真の少子化対策は、体外受精における公的助成等のお金の援助ではないということです。

 この度の拙著『妊活力! のんびり ゆったり しっかり Book』(佼成出版社)には、カップルが自分たちの夫婦力に立ち返り、マインド・チェンジによる草の根からのボトムアップこそが、真の少子化への処方箋ではないか、そんな思いを込めました。一人でも多くの方に、手に取っていただければと願っております。(文=放生勲)

放生勲(ほうじょう・いさお)
こまえクリニック院長。弘前大学医学部卒業。89年から90年までドイツのフライブルク大学病院およびマックス=プランク免疫学研究所に留学。東京大学大学院医学博士課程修了。東京医科歯科大学難治疾患研究所勤務を経て、99年、こまえクリニックを開院。自ら経験した不妊治療に対する疑問から、内科診療のかたわら2000年に「不妊ルーム」を開設。これまで多数のカップルを妊娠に導く。著書に『妊娠力』(主婦と生活社)、『決定版 妊娠レッスン』(新潮文庫)、 『卵巣セラピーで妊娠体質をつくる―内科医だからできる妊活サポート』(扶桑社)など多数。

※医療バナンス学会発行「MRIC」2020年9月17日より転載(http://medg.jp/mt/)

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