新型コロナ PCR検査をクラスター追跡と重症者のみに固執する厚労省①

この記事のキーワード : 
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
新型コロナ  PCR検査をクラスター追跡と重症者のみに固執する厚労省の画像1

PCR検査検査体制は全く春から変わっていない!

重症者以外は保健所ルートのPCR検査が受けられない

 当院にかかりつけの警察官の方から電話があって、前の日から倦怠感等の症状あるとのこと。池袋の夜の繁華街の警らをする仕事に従事していて、同僚の警察官が嗅覚異常等の症状があってPCR検査を受けたので、自分も検査を受けられないかとの問い合わせだった。

 このような状況の方ならば医療機関から依頼すればすぐにPCR検査を受けさせてもらえるものと思って保健所に連絡してみたら予想外の回答だった。重症でなければ保健所ルートではPCR検査を受けられないと断られてしまったのだ。

 練馬区コールセンターでは、今週に入ってから問い合わせの電話が鳴りやまない状態で、保健所の検査枠はもう満杯で保健所経由でPCR検査が受けられるのは、すでに重症例のみに限定されてしまったというのだ。それで軽症・中等症はすべて練馬区・医師会ルートの唾液検査に回すことになっているらしい(ちなみに重症とは明らかな肺炎が検査で確認されていて、高熱、呼吸困難が強い症例とのこと)。仕方がないので保健所ルートの検査は諦めて、医師会ルートですでに唾液PCR検査を開始している診療所を調べて直接頼み込んでなんとか検査をしてもらうことができた。

クラスター対策に翻弄する行政

 新宿のホストクラブで蔓延しているクラスターでは無症状でも検査がうけられているのに、一般の市民は重症でなければ検査を受けられないというのはどういうことなのだろうか。
この警察官の方に限らず、今日来院された別な患者さんにしても、本当に検査が必要な患者さんの検査がしてもらえない(後にこの患者さんは唾液のPCR検査で陽性だった)。これは感染拡大初期の3、4月の話をしているのではなく、再び東京を中心に感染が急拡大している現在の状況だ。

行政は夜のクラスター潰しに躍起になっているが、そちらの検査のために保健所のPCR枠が使い果たされているのだろうか。クラスター対策に余念がなくても、一般の患者さんの対応は置き去りのままだ。驚くべきことに行政の根本的な対処法は春先と何も変わっていなかったのだ。

 クラスター班は当初、「クラスターを潰していけば感染の拡大は抑えられ、一般の検査は重症の患者さんに限定してそれ以外は検査の必要なし」と明言していた。その後、議論が百出してその方針の修正が求められたが、まったくと言っていいほど行政を動かす力にはなっていなかったらしい。

 1日2万件の検査ができる体制ができたとか、症状のある疑い患者さんは全て検査ができるようになっているというのは、どうやら民間の検査会社のキャパシティーの総数を計上しているだけのことで、保健所ルートの検査体制はほとんど拡充されていないようだ。

バナー1b.jpeg
HIVも予防できる 知っておくべき性感染症の検査と治療&予防法
世界的に増加する性感染症の実態 後編 あおぞらクリニック新橋院内田千秋院長

前編『コロナだけじゃない。世界中で毎年新たに3億7000万人超の性感染症』

毎年世界中で3億7000万人超の感染者があると言われる性感染症。しかも増加の傾向にある。性感染症専門のクリニックとしてその予防、検査、治療に取り組む内田千秋院長にお話を伺った。

nobiletin_amino_plus_bannar_300.jpg
Doctors marche アンダカシー
Doctors marche

あおぞらクリニック新橋院院長。1967年、大阪市…

内田千秋

(医)スターセルアライアンス スタークリニック …

竹島昌栄

ジャーナリスト、一般社団法人日本サプリメント協会…

後藤典子