新型コロナへの過剰反応、アメリカのインフルエンザではすでに死者1万人超、パンデミックに備えるべきこと

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感染を疑い受診して感染してしまうリスク

 感染を疑った人が診断を求めて医療機関を受診する弊害はまだあります。実は、最近も、どう考えてもごった返す医療機関を受診して、インフルエンザをもらってきたとしか思えない患者さんがいました。そう、軽症で医療機関を受診することによって、かえって感染してしまうのです。やはり、医療機関は、診断をつけてもらいに行くところではなく、治療が必要な人が行くところです。軽症者は自宅療養で治してください。そうすることによって、少ない医療資源(人的、時間的、金銭的)を本当に必要な人の治療に集中させることができます。

 医療機関への問い合わせにも注意が必要です。電話での医療相談をする前に、かかったかなと思ったら、早めの○○ではなく、喉を潤し休息です。日常の診察時も、薬を飲んで見た目は解熱したまま働き続けている人のなんと多いことでしょう。そして公的な機関、信頼できる筋からの情報収集等、自分で出来ることは自分でやりましょう。

 当院も電話での問い合わせには苦労しています。小さな診療所で一人のスタッフと電話回線が占領されます。今回のような事態では、指定医療機関にも電話が殺到し、本来の業務に支障をきたしています。

 致死的な感染症のパンデミックが起きれば、ほとんどの医療者は、感染のリスクにさらされます。自分が感染しているリスクを考えれば、しばらく家に帰れなくなるでしょう。一般の方々は想像しにくいでしょうが、前線の医療関係者にとっては、命を賭けた戦いになります。

新型コロナより深刻なアメリカのインフルエンザ大流行

 現状では新型コロナよりインフルエンザの方が深刻です。今年流行しているインフルエンザA型は、2009年に新型インフルエンザとしてパンデミックになったH1N1型です。再びパンデミック化しています。アメリカではなんと1900万人が罹患し、既に1万人亡くなっているそうです。日本でも例年1万人程度の方がインフルエンザで亡くなっていると推計されています。インフルエンザで日々亡くなる方が出ているというのに、こちらの方は、新型インフルエンザとして大騒ぎしたあの頃の騒ぎが嘘のように、すっかり対岸の火事です。

 今年のインフルエンザワクチンは、H1N1型をカバーするものです。新型コロナと違って、ワクチンである程度予防できるのです。有効率3、4割と言われていますが、重症化は防ぎますし、毎年接種することで、通年性のインフルエンザにも有効です。今からでも遅くはないのでワクチン接種をお薦めします。さらにインフルエンザは抗ウイルス薬もあります。今流行中の麻疹・風疹に至っては、ワクチンを2回接種していれば、ほぼ防げる病気です。にも拘らず、ワクチン接種に関して皆さん極めて鈍感です。自分を守るためだけでなく、病気のためにワクチン接種できないでいる人、1歳以下(定期接種前)の子供、妊婦さんといった人たちを守る(集団免疫)という考え方も是非知って下さい。

 新型コロナには診断キットもワクチンも抗ウイルス薬もありません。ですが、感染してもほとんどの人は自分の免疫力で治せます。ですから一番大切なのは、通常の自分の健康管理です。疲れすぎないこと、よく寝て、水分をしっかり摂って、大勢の人が集まるような場所では、あちこちを触った手で、不用意に目、鼻、口を触らないことです。もう一つ、万が一うつってしまったかもしれないと思った時は、自分が感染源とならないような細心の注意が必要ですが、いわゆる「無症状病原体保有者」(症状がなく検査で陽性になった人)は人にうつす可能性も低いので、自宅療養で十分なのです。

 医療資源には、限りがあります。国民全体で優先順位を考え、有効利用しなければ感染症は抑え込めないし、他の疾患で医療機関が必要な患者さんにしわ寄せがきます。
まず、各自打てるワクチンはきちんと接種して下さい。
喉がイガイガするのだけど、少し咳が出るのだけど、ちょっと頭がいたいのだけれど、感染が心配という方、他者への配慮ができていますか?それでも病院へ行きますか?
(文=坂根みち子)

坂根みち子(さかね・みちこ)
坂根Mクリニック院長。筑波大学医学専門学群 筑波大学大学院博士課程卒業。
筑波大学附属病院、筑波記念病院、きぬ医師会病院、茨城西南医療センター病院、筑波学園病院、流山総合病院、総合守谷第一病院、おおたかの森病院などを経て現職。
日本体育協会公認スポーツドクター、認定内科医、循環器専門医
坂根みち子

※医療バナンス学会発行「MRIC」2020年2月5日より転載(http://medg.jp/mt/)

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