飲む前に服用するだけで酒量が減る? アルコール依存症の新薬がついに発売開始

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飲酒の1~2時間前の服用で飲酒量が抑制できる

 これまでの抗酒薬や断酒薬による断酒治療の限界を解決するため、今年3月5日に大塚製薬とルンドベック社(デンマーク)は、全国の医療機関向けに国内初の減酒薬「ナルメフェン塩酸塩水和物」(商品名セリンクロ)」を発売した。

 飲酒の1~2時間前に減酒薬「セリンクロ」10mg(1錠)を服用すると、中枢神経や末梢神経に広く存在するオピオイド受容体の鎮痛作用によって飲酒欲求が抑制されるため、飲酒量が低減される。

 国内のアルコール依存症患者約660人を対象に行った、心理社会的治療と併用する第3相プラセボ対照二重盲検比較試験とその後24週間の長期投与試験の結果、多量飲酒した日数と総飲酒量の減少が見られたことから、有効性が確認されている。

 欧州では2013年から飲酒量低減薬承認・販売されており、日本では2018年に「新アルコール・薬物使用障害の診断治療ガイドライン」(日本アルコール・アディクション医学会/日本アルコール関連問題学会)に飲酒量低減という選択肢が追加された。

 すぐに飲酒をやめられない患者は飲酒量を減らすことから始め、飲酒による害をできるだけ減らす「ハームリダクション」が得策だ。治療が必要な患者が治療を受けないというギャップを減らし、治療からドロップアウトしないようにする。それが、減酒薬の狙いだ。

 前述のとおり、アルコール依存症の治療の主体は心理社会的治療であることから、服薬遵守と飲酒量の低減を目的とした心理社会的治療を併用する。

 治療対象になる患者は、習慣的にアルコールを1日平均60g以上飲む男性と40g以上飲む女性。アルコール離脱症状がある患者は、離脱症状の治療終了後に使用しなければならない。

 だが、減酒薬「ナルメフェン塩酸塩水和物」にも副作用があることを忘れてはならない。

 国内の臨床試験によると、副作用(臨床検査値異常を含む)が約71.1%に上っている。主な副作用は、悪心(31.0%)、浮動性めまい(16.0%)、傾眠(12.7%)、頭痛(9.0%)、嘔吐(8.8%)、不眠症(6.9%)、倦怠感(6.7%)などだ。

 臨床への導入期間がまだ浅いことから、今後も重篤な副作用、予知不能の有害事象や有害反応が発生するリスクは避けられない。したがって、安全性及び有効性を十分に理解し、アルコール依存症の治療を適切に実施できる専門医が処方しなければならない。

アルコール依存症のセルフチェックをしてみる

 1月10日、日本肝臓学会は減酒薬「ナルメフェン塩酸塩水和物」を投与する時に、専門医は「ガイドライン」に留意し、アルコール依存症の治療を適切に実施するように勧告している。

 ちなみに、WHO(世界保健機関)が作成した「アルコール依存症の早期発見のチェックシート」を使えば、アルコール依存症の程度を簡単に評価できる。

 また「アルコール依存症チェックシート」(一般社団法人日本精神科看護協会)でも依存度をチェックできる。

 アルコール依存症かどうかが不安であれば、保健所、アルコール専門クリニックや専門病棟のある精神病院のほか、日本ダルク(DARC)などの回復支援施設、AA(アルコホーリクス・アノニマス)日本、断酒会などの自助グループに問合せる方法もある。

 さて、飲む1時間前に1錠を服用すれば、飲みたくても飲む気が失せる減酒薬。果たして「断酒の秘薬」になるだろうか?(文=編集部)

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