日本初の『胃弱外来』開設」前編:巣鴨駅前胃腸内科クリニック・神谷雄介院長

大病院を転々した末にたどり着く「胃弱外来」 初診から約1カ月で8割の患者の症状が改善

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丁寧な問診で「胃弱」のトリガーを見つける

 神谷院長が、クリニックを開院したのは2016年。それまでは、大病院の消化器科のエキスパートとして胃もたれや下痢といった一般的な症状から、炎症性腸疾患や内視鏡による高度ながん治療まで幅広く診療にあたり、内視鏡専門医として年間数千例の内視鏡検査・治療に携わってきた。

 神谷「検査で異常が見つからないのに、胃の不調に苦しむ患者さん、難渋されている患者さんもおられましたが、大病院ではどうしても、がんや潰瘍などの緊急性の高い疾患が優先されます。私の理想は『患者さんの相談役のような形でずっと傍に寄り添う主治医』です。好きで選択した医師の道なので、多くの患者さんの顔を見て、病気だけでなく、人柄や考え方なども理解し、本当の意味での主治医として、生涯の面倒見役としての医師でありたいと思い、クリニックを開院しました」

 「胃弱」の治療は、まさに「患者の相談役」である。多くの病院で、異常なしと言われ、それでも不調に悩む患者は、医師に不信感を持っていることもある。神谷院長は、丁寧な問診で患者に寄り添う。

 神谷「まずは、検査をして器質性の病気でないかを調べます。年齢にもよりますが、胃カメラ、エコーによる腹部、すい臓、甲状腺などの検査を行います。よそで異常なしと診断された患者さんでも、割合は少ないのですが、胃や他の部位に疾患が見つかることもあります」

 そして、器質性の病気でないことがはっきりすると、「胃弱」の治療を行う。

 神谷「『不調であること』が『自分は病気かもしれない』という不安感を引き起こし、不安感からFDになっている方もいて、そういう場合は他院で検査を行っていた方でも、再度当院で検査をすることもあります。
それでも異常がなければ、重篤な病気ではないと安心していただくことができ、症状が改善することもあります」

西洋薬と漢方薬を組み合わせると改善が早い

 長年「胃弱」で苦しむ患者に接してきた神谷院長は、生活指導と投薬で治療する。

 神谷「規則正しい生活が大切です。胃が活動する時間を規則正しくして、調子を整えます。長時間、空腹が続くと胃酸過多になりやすいので、昼食と夕食の間があきすぎる場合には、間食をとることをすすめます。睡眠不足も胃の機能回復にはマイナスです。また、高脂肪食は胃に負担をかけますから、お昼に脂っぽいものを食べたら夜は軽めにするとよいのです。投薬は、症状によって、運動機能改善薬や酸分泌抑制剤を出しますが、当院では六君子湯(リックンシトウ)などの漢方薬も組み合わせています。『胃弱』には、西洋薬と漢方薬を組み合わせたほうが治りが早い印象があります」

 初回に2週間分の薬が処方されるが、2割ぐらいの患者は、この2週間で症状が改善するという。1カ月で8割。さらに2カ月ほどで、ほとんどの人が胃の不調から解放されるか、症状が軽減される。

神谷「サラリーマンで通院されていた方が、退職したらすっかりよくなられたことがあります。ところが、再就職をされたところ、また通院されるようになりました。仕事のストレスがFDのトリガーとなっている典型的な例です」

 ストレスの原因は、一人ひとり異なる。「胃弱」に悩む人には、神谷院長のように、患者一人ひとりに寄り添って相談に乗ってくれる主治医が必要だ。
(取材/文=増澤曜子)

大病院を転々した末にたどり着く「胃弱外来」 初診から約1カ月で8割の患者の症状が改善の画像2

神谷雄介(かみや・ゆうすけ)
巣鴨駅前胃腸内科クリニック院長。 国立佐賀大学医学部卒業後、板橋中央総合病院にて、内視鏡の基礎を学ぶ。 その後、日本屈指の胃腸・内視鏡専門病院の平塚胃腸病院にて胃腸疾患と内視鏡検査・治療に従事し、2016年4月巣鴨駅前胃腸内科クリニックを開業。 内視鏡検査だけでなく、胃腸症状専門外来や、がんの予防・早期発見に力を入れ、診療を行っている。

胃の不快感の多くは実は「機能性ディスペプシア」という病気
日本初の『胃弱外来』開設」後編:巣鴨駅前胃腸内科クリニック・神谷雄介院長

前編『大病院を転々した末にたどり着く「胃弱外来」 初診から約1カ月で8割の患者の症状が改善』

胃痛やもたれ、むかつきなどの症状があっても、検査の結果異常がないと診断され悩みを抱える患者さんが少なくない。こうした胃の悩みを抱える人たちのために開設したのが胃弱外来。患者さんの多くは新しく認知された『機能性ディスペプシア』や『胃食道逆流炎症』などの疾患だ。その具体的な治療法について話を伺った。

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