メディアが書けない!?タバコ問題 巨大な利権が国民の生命を損なう

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日本全国の出版社や書店のネットワークで健康増進活動

 そこで、今回の拙著の出版をキッカケとして、「タバコ問題について広く国民に理解してもらうプロジェクト」の一環として「各地の主要な書店に拙著『新型タバコの本当のリスク』を並べてもらうプロジェクト」を実施したいと思います。

 日本全国の出版社や書店のネットワークを活用し、書籍を届けることによって、新聞とは異なるルートで国民にアプローチして、タバコ問題について理解してもらうプロジェクトです。新聞の場合には、既に多くの人がその新聞を購読していますので、記事にさえなれば一定程度の人には伝えることができるものと考えられます。しかし、書籍ではそうはいきません。人々が本書を手に取ってもらわなければ、知ってほしい情報を伝えることができません。なんとかして各地の主要な書店に本書が並ぶようにしたいと考えています。

 私が個人的に書店を回ってみた経験では、書店員さんは懐が広く、いろんなことを知っていて、面白い人が多く、丁寧に話を聞いてくれるという印象でした。もちろん忙しそうなときには遠慮し、無理はしません。書店員さんと話をするだけでも楽しいというのが素直な感想です。

 例えば、2月末には、八重洲の大型書店にアポなし訪問して、医学書担当の書店員さんに拙著について説明させてもらいました。本書には類書がないこと、新型タバコ問題やタバコ会社のマーケティングに関するノンフィクション本でもあること等を伝えたところ、書店員さんはとても熱心に話を聞いてくれました。さらに、本書をきっかけにしてタバコ問題の重要性に気付いてもらうキッカケとできると考えており、できるだけ多くの人に読んでほしい、本書を置いてもらうことは書店とともに進める健康増進活動なんだと考えていると伝えたところ、書店員さんは理解を示してくれて、例え配本がなかったとしても本書を書店に置くように手配すると約束してくれました。書店員さんには、急に訪れたよく分からない本の著者の長話に付き合い、理解を示していただき、本当にありがたいことです。

 このプロジェクトは、日本全国の賛同してくださる皆さんとともに書店で営業活動を行い、タバコ問題について広く国民に理解してもらうプロジェクトです。

 すでに、日本全国の多くの方が、このプロジェクトへの協力を表明してくださっています。本当にありがとうございます。とても励みになります。このプロジェクトは拙著についてのものとしていますが、今後、他の社会的意義の高い書籍等に対しても応用が可能だと考えています。

 このプロジェクトについて皆さんから率直な意見や感想がいただけますと幸いです。適時改訂・修正して活動を続けていきたいと考えています。

 残念ながら、日本社会はタバコに対して非常に寛容です。そんな中で、タバコ対策を進めるのは、ただでさえ大変です。だからといって、われわれはタバコ対策をあきらめるわけにはいきません。人のいのちを大切にするために、タバコ対策は優先順位の最も高い政策の1つだと分かっているのですから。

 人を大切にするための第一歩として、まずはタバコのない社会の実現を目指して活動していきたいと考えています。皆さんと協働して励ましあって前に進んでいければと考えておりますので、引き続き、よろしくお願いいたします。
(※ここでの「タバコのない社会」とは十分に喫煙率が低いことを指しており、ゼロリスクを求めているのではありません。あしからず。)
(文=田淵貴大)

※参考文献(1~10)
1.田淵貴大. 東京を禁煙都市にする国民運動リレー情報9:社会はいかにタバコ産業に歪められているか 世論時報 49 (6): 14-19. 2016. https://www.dropbox.com/s/1nk0ovrv4k6hfk1/%E4%B8%96%E8%AB%96%E6%99%82%E5%A0%B16%E6%9C%88%E5%8F%B7%E2%91%A8%E7%94%B0%E6%B7%B5%E8%B2%B4%E5%A4%A7.pdf?dl=0 (accessed 27 February 2019).
2.JTと電通が露骨な「報道操作」 三万人のための総合情報誌『選択』 7月号. 2016. https://www.sentaku.co.jp/articles/view/16030 (accessed 27 February 2019).
3.Joossens L, Raw M. The Tobacco Control Scale: a new scale to measure country activity. Tob Control 2006; 15(3): 247-53.
4.Ikeda N, Inoue M, Iso H, et al. Adult mortality attributable to preventable risk factors for non-communicable diseases and injuries in Japan: a comparative risk assessment. PLoS Med 2012; 9(1): e1001160.
5.GBD 2017 Risk Factor Collaborators. Global, regional, and national comparative risk assessment of 84 behavioural, environmental and occupational, and metabolic risks or clusters of risks for 195 countries and territories, 1990-2017: a systematic analysis for the Global Burden of Disease Study 2017. Lancet 2018; 392(10159): 1923-94.
6.Tabuchi T, Fujiwara T, Shinozaki T. Tobacco price increase and smoking behaviour changes in various subgroups: a nationwide longitudinal 7-year follow-up study among a middle-aged Japanese population. Tob Control 2017; 26(1): 69-77.
7.Tabuchi T, Hoshino T, Nakayama T. Are Partial Workplace Smoking Bans as Effective as Complete Smoking Bans? A National Population-Based Study of Smoke-Free Policy Among Japanese Employees. Nicotine & tobacco research : official journal of the Society for Research on Nicotine and Tobacco 2016; 18(5): 1265-73.
8.Chapman S. Public Health Advocacy and Tobacco Control: Making Smoking History. Oxford, UK: Blackwell Publishing Ltd; 2007.
9.サイモン・チャプマン, 矢野栄二, 高木二郎. タバコを歴史の遺物に タバコ規制の実際. 東京: 篠原出版新社; 2009.
10.田淵貴大. マスメディアキャンペーン. In: 喫煙の健康影響に関する検討会, ed. 喫煙と健康 喫煙の健康影響に関する検討会報告書. 東京; 2016: 536-43.


田淵貴大(たぶち・たかひろ)
大阪国際がんセンター
がん対策センター疫学統計部 副部長

医療ガバナンス学会発行「MRIC」2019年3月22日より抜粋転載
全文はhttp://medg.jp/mt/?p=8922

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