女性型脱毛症(FPHL)の人の多くは頭皮の血流が低下している
女性の薄毛は、男性のAGAとは異なる疾患であると考えられており、原因には諸説あるものの、未だはっきりとした答えは解明されていない。そのためなかなか決定的な治療方法が見つかっていないのが現状だ。
そんな中、ウィメンズヘルスクリニック東京(浜中聡子院長)とアンファー株式会社は「女性の薄毛と頭皮の血流の関連性に関する共同研究」を行い、「女性の薄毛の原因は、頭皮の血流の低下にある」と発表した。(2018年11月8日、プレスリリース)
女性の薄毛の症状のうち、特に頻発しやすい女性型脱毛症(FPHL)には複数の種類がある。ホルモンバラスが乱れるために頭部全体薄くなる「びまん性脱毛症」、加齢による女性ホルモンの低下によって起きる「FAGA」(女性における男型脱毛症)、毛根にダメージを与える自己免疫疾患「円形脱毛症」のほか、女性の出産後に一時的に脱毛が増える「分娩後脱毛症」、髪をまとめるようなヘアスタイルやエクステなどが原因で起きる「牽引性脱毛症」などがある。
研究では女性型脱毛症と診断された女性25人と毛髪が豊富な女性25人を対象にスカルプエコーを用いて頭頂部皮膚の厚さと動脈の血流測定を行った。
その結果、女性型脱毛症群の頭皮の厚さは、健常者群よりも薄く、女性型脱毛症群の頭頂部細動脈の拡張期血流は低下し毛細血管流は不均一だった。このことから、女性型脱毛症の原因は、頭皮の血流の低下にあることが示唆されているという。
それでは、血流を改善するためには日常生活では何が必要なのだろう。
「女性の薄毛と頭皮の血流の関連性に関する共同研究」では、「抹梢の血流をよくする有酸素運動を汗ばむ程度に1日20分程度続けること」、「喫煙は毛細血管を収縮させ、血流を悪化させるので、禁煙を心掛ける」などを提案している。
ウィメンズヘルスクリニック東京の浜中聡子院長は次のように語る。
「今回の研究は<血流と薄毛の関係性>について、日本で初めて臨床データを用いた実証に成功いたしました。この結果を女性型脱毛症の新しい診断基準の作成や治療方針の選択に役立てるとともに、頭皮の血流量を増加させる薬剤の開発および導入に向けて、更なる研究を進めてまいります」
女性の薄毛はさまざまな要因が複雑に絡み合って起きている。しかし、多くの女性型脱毛症(FPHL)のケースでは共通して頭皮の血流量の低下が起きていた。今後の薄毛治療にとって新しい可能性が示されたと言えるだろう。
(文=佐藤博)
佐藤博(さとう・ひろし)
大阪生まれ・育ちのジャーナリスト、プランナー、コピーライター、ルポライター、コラムニスト、翻訳者。同志社大学法学部法律学科卒業後、広告エージェンシー、広告企画プロダクションに勤務。1983年にダジュール・コーポレーションを設立。マーケティング・広告・出版・編集・広報に軸足をおき、起業家、経営者、各界の著名人、市井の市民をインタビューしながら、全国で取材活動中。医療従事者、セラピストなどの取材、エビデンスに基づいたデータ・学術論文の調査・研究・翻訳にも積極的に携わっている。