女性の薄毛・抜け毛に効果的な治療法は確立されているのか?

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根拠がある女性の薄毛対策はあるのか?

 ヒトはなぜ薄毛になるのだろうか? 女性は30代から毛髪に変化が起きやすくなり、薄毛に悩む女性はこの10年間だけでも急増しているという。

 女性が薄毛になる原因は、人間関係のストレス、運動不足、薬物、過度なダイエットから、喫煙、遺伝、栄養不足、病的要因、過度な飲酒、頭皮トラブル、質の悪い睡眠、女性ホルモンの低下、血流の低下まで実に複合的な要因が絡んでいる。

 30歳以上の女性1万人を対象に行った「女性の悩み調査」でも、肩こり、頭痛、腰痛、肥満、視力の衰え、便秘、生理痛などの他に、抜け毛、薄毛、白髪の悩みもかなり多い(電通九州調べ「通信販売利用実態調査」2016年)。

発毛剤のひとつプロペシアは女性には効果が無い

 AGA(男性型脱毛症)で使用する治療薬は、医薬品として発毛効果のエビデンスが認められているプロペシア(フィナステリド)とミノキシジルのふたつ。このうち、プロペシアは女性には使われない。なぜなら女性の薄毛・抜け毛は男性のAGAとはメカニズムや原因が異なると考えられており、プロペシアの有効性はないとされるからだ。

 もともとプロペシアは前立腺がんや膀胱がんの治療薬として開発されていたものが転用されAGAで使用されている。AGAの原因と考えられる男性ホルモンの一種DHT(ジヒドロテストステロン)の生成を抑制する薬で、基本的にプロペシアは男性患者にのみ処方される。

 副作用としては食欲減退・全身倦怠感(肝機能障害)・性欲減退・勃起機能不全・乳房障害・抑うつ症状などが数例報告されている。仮に女性が妊娠中や授乳中にプロペシアを服用した場合、胎児や乳児が男児であった場合に生殖器の発育に異常をきたす可能性があるとされている。

 国内の病院では女性に処方されることはないが、ドラッグストアで購入したり、個人輸入や男性から譲りうけるなどすれば、女性でも手にすることができてしまう。しかし安易にこれを使用することなく、女性の服用は非常に危険であることを知っておいてほしい。

女性用発毛剤はミノキシジル濃度が低いものを推奨

 一方、ミノキシジルは男女ともにAGA(男性型脱毛症)治療に普及している。この薬も本来は高血圧治療のための血管拡張剤、血圧降下剤として開発され、臨床試験によって発毛効果が認められたものだ。

 毛包に直接作用し、細胞の増殖やタンパク質の合成を促進することによって発毛させると考えられているが、明確な機序は不明。頭皮に塗布するタイプと内服するタイプがあり、頭皮に塗布するタイプの外用剤(リアップなど)はドラッグストアでも購入できる。

 しかし、血圧や心臓に影響を及ぼす可能性が高く、高血圧や低血圧の人、心臓の弱い人、高齢などに該当する人は使用する前に、医師または薬剤師に相談する必要がある。もちろん副作用も報告されており、頭皮のかゆみ、頭皮の炎症や湿疹、脂漏性皮膚炎などがあげられる。

 女性用の発毛剤として、日本製では「リアップジェンヌ」(大正製薬)があり、ミノキシジル濃度1%の医薬品第1類として承認されている。女性用では低濃度のものが推奨されており、海外製でも2%前後低濃度の商品を使うべきだろう。その他、「女性用ロゲイン」「スペクトラルUHP 」「アクタビス」「フォリックスFR02」なども低濃度の発毛剤だ。

クリニックで処方される場合は内服薬と外用薬を選べ、濃度や副作用などを医師に相談できるメリットがある。ミノキシジルの費用は3,300円~14,000円まで地域差があり、ドラッグストアなどで購入すれば、通院する手間が省け、費用を抑えやすくなる。

 その他、サプリメントや点滴、HRT(ホルモン補充療法)、PRP(自己多血小板注入)治療などの選択肢もある。非常に多くの商品が氾濫する育毛剤にいたっては効果が安定しているものが少ない。

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