日本で軽んじられる騒音被害は「現代の伝染病」メンタルヘルスにも悪影響

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騒音で心筋梗塞や脳卒中の発症リスク

 米マサチューセッツ総合病院のAzar Radfar氏らの研究チームは、PET/CT検査による脳の断層写真を分析し「幹線道路沿いや空港周辺などの騒音レベルの高い環境に長期間、曝露されると、ストレス反応を引き起こす脳部位の扁桃体を活性化させ、心筋梗塞や脳卒中の発症リスクが高まる可能性がある」とする研究成果を2018年11月10~12日にシカゴで開かれた米国心臓協会(AHA )年次集会で発表した。
 
 集会でRadfar氏は今回の研究「騒音と心血管疾患が関連する機序」の一端を明らかにし、「扁桃体が血管の炎症を亢進するホルモンの分泌を促すことから、心筋梗塞や脳卒中のリスクを高める可能性がある」と強調している。

環境騒音は深刻で回復困難な障害や重篤な疾患を招いている!

 実際に騒音はどのような健康被害を及ぼすのか? 「WHO環境騒音ガイドライン(1999)」「欧州WHO:環境騒音による疾病負荷(2011)」に基づいた「環境騒音による健康被害」を見てみよう。
 
 まず、環境騒音とは「あらゆる音源から発生する望ましくない音」と定義されている。環境騒音には道路交通騒音、鉄道騒音、航空機騒音、工場騒音、建築騒音、公共事業の騒音などに分類されており、屋内の環境騒音には空調機器の音、事務機器の音、家電製品の音、近隣騒音がある。
 
 鉄道騒音や航空機騒音などの全ての交通騒音を含めると、EU の人口の半分以上の人が快適な音環境を保証されていないことが証明されている。夜間には30%以上の人が等価騒音レベルで 55dB以上の騒音に曝露され、睡眠妨害が生じており、交通量の多い道路沿道では、等価騒音レベルで75-80dBに達する場合もある。
 
 ちなみに、等価騒音レベルとは、時間とともに不規則かつ大幅に変化している騒音レベルの場合(非定常音、変動騒音)に、ある時間内で変動する騒音レベル時間平均値だ。
 
 このような騒音は、「騒音性聴力障害」をはじめ、「会話・聴取妨害」、「休息・睡眠妨害」、「精神生理学的影響」、「メンタルヘルスへの影響」、「作業・学習への影響」、「住民の行動や不快感 への影響」、「活動妨害などの急性的・慢性的な健康への悪影響」などさまざまな悪影響を及ぼすといわれており、騒音による健康被害は環境要因の中で、大気汚染の粒子状物質による影響に次いでリスクが高い。
 
 騒音による健康被害のなかでも3~6kHz の高周波数領域の聴力が低下する「騒音性聴力障害」は最も広汎に見られる回復不能な職業病で、おおよそ85 dB以上の騒音に1日8時間曝露されたとして、5~15年の経過の後に発症するともいわれる。
 
 睡眠妨害は、入眠困難、覚醒や睡眠深度の変化、血圧・心拍数・指先脈波振幅の上昇、血管収縮、呼吸の変化、不整脈、体動の増加などのほか、不眠感、疲労感、うつ、作業能率の低下に繋がる。

 また、騒音は住民の生理的機能に急性的・慢性的な悪影響を及ぼすので、長期曝露によって高血圧や虚血性心疾患などの永続的な悪影響を与えると考えられる。前述の研究でも同様の傾向が報告されている。
 
 そのほか、騒音は読解力,集中力,記憶力などを低下させ、作業・学習への認知作業に悪影響をもたらす。社会的影響、行動への影響、不快感(アノイアンス)を抱かせ、社会的行動へも影響を与える。騒音の曝露期間が長いほど影響も大きいため、血圧上昇やストレスホルモン濃度の増加などの生理学的な変化も起きる。

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