自分に合ったマッサージチェアの選び方
実際に自分たちがマッサージチェアを買う時は、どんなポイントに着眼して商品を選べばいいのだろう?
大出氏は「一番は自分の体に合うかどうか」と、そのポイントを説明する。「乗った時の気持ちよさがすごく重要な要素なんです。というのも、効果が出る椅子であっても、マッサージをされてみて痛いとなると、もうそのマッサージチェアを使わなくなる傾向があるので」とマッサージチェアを購入する人の心理を分析する。
「5年とか10年使うものですし、強弱の調整ができるもの、自動コースのバリエーション、体形検知機能の有無などから選んで、かつ自分の体に合ったものを使うのがいいです。今は気持ちいいけど、5年後は体も衰えてきて快適ではなくなった、なんてこともあるんです。将来のことも考えて、ゆったりしたものを選ぶとか、そういうことも考慮して買うのがいいと思います」
マッサージチェアを購入しても、その使い方にも注意しなければならない。これについて一井氏は「使うのに適したタイミングで使って欲しいです」と力を込める。
快適な使い方の目安は「1日30分」。「肩を集中的にマッサージしたい時でも、『5分までにしてください』とか、揉み過ぎの注意を利用者にはうながしています」という。
血行の良い状態での使用も避けたほうがいいとのことで、「食後すぐとかはダメ。アルコールを飲んだ後ももちろんです」と使用上の注意点を説明してくれた。
変貌していくマッサージチェア業界
時代が変わり、マッサージチェアも通信販売で買う人が増えた。だが、それゆえに、「家に届いたら思ったより大きかった」「エアーバッグの空気が抜ける音が思ったよりうるさい」などなど、これまでになかったような意見が寄せられるようになった。
フジ医療器の大出健太郎氏と一井麻子氏
同社では、実際に商品の良さを自分で確かめてもらおうと、都内にショールームを設置。利用者がどうすれば満足してくれるのかを追求する日々が続く。
インターネットが普及し、スマート化が計られる中、商品のIT化も進む。AI搭載のマッサージチェアが市場に登場する日はそう遠くない未来かもしれない。大出氏自身も「IT化は避けられない」と展望を明かす。
フジ医療器の目標は「マッサージチェアを一家に一台」。大出氏と一井氏は理想のマッサージチェア選びについて改めて「体に合うマッサージ機がいいマッサージ機。強弱の調整の幅が広いマッサージチェアがいいと思います」と提言する。
家庭用マッサージチェアが普及したとはいえ、まだまだ販売面で伸びしろはあると考えているといい、大出氏は「マッサージチェアに関しては、使ったことのない人にこそ、今後どんどん使って欲しいと思っているんです」と話す。
「使えば良さのわかるものなのは間違いないです。一度でもマッサージチェアのある生活を過ごしてもらえれば、その後マッサージチェアを手放せなくなる人が増えていくと思います。だからこそ、自分に合ったマッサージチェアに出合って欲しいし、わたしたちも努力していかなければいけない」とする。
(取材・文=名鹿祥史)