使用前には必ず取扱説明書を読む!(shutterstock.com)
ストレスフルな時代を反映してか、家庭用電気マッサージ器が大人気だ。過去4年連続で出荷台数が伸び、少し前のデータだが、2013年には約195万台に到達。仕事から疲れて帰ってきた夜、電気マッサージ器で肩こりや脚のむくみをもみほぐすことを、ささやかな楽しみにしている人も多いことだろう。
しかし、「疲れを癒やしたい」という目的で使用したはずの電気マッサージ器で、骨折など思わぬケガをするケースが相次いでいる。国民生活センターによると、2010年4月から2015年12月の間に、全国の消費生活センターなどに寄せられた相談は253件にのぼり、年々増加している。
2年間使用でむち打ちのような症状に
相談事例には以下のような深刻な事故が少なくない――。
「マッサージチェアの腕もみで腕が腫れ、仕事ができなくなり完治まで1カ月かかった」(70代男性)
「マッサージチェアの押圧アームに挟まれて肋骨を3本折り45日間入院」(70代男性)
「フットマッサージャーの締め付けが強く停止ボタンを押したが、足が強く挟まれたまま停止し、しびれた状態が続いている」(30歳代女性)
同センターのデータによれば、電動マッサージ器の被害者は女性が7割(176件)を占め、全体の6割(155件)が60歳以上の人だという。
しかし中には、「マッサージチェアを2年間ほぼ毎日15分使用していたら、ある日、頭痛がして吐いた。医師に脳脊髄液漏出症と診断され、おそらくマッサージチェアが原因だろうといわれた」という20歳代男性の例もある。
脳脊髄液漏出症とは、脳と脊髄の周囲を満たす髄液が漏れ出して少なくなることにより、頭痛や頸部痛、めまい、耳鳴り、倦怠感などを引き起こす症状だ。交通事故によるむち打ちなどの後遺症として起きることがある。そんなダメージが電動マッサージ器によって引き起こされると考えると、ぞっとしてしまう。
機器の種類で被害が最も多いのはマッサージチェア(83件)で、次いでフットマッサージャー(49件)、ベッド型マッサージ器(22件)、首・肩掛け型マッサージ器(19件)と続く。マッサージチェアによる怪我では「神経・脊髄の損傷」(7件)、「筋・腱の損傷」(5件)、「骨折」(4件)が多い。
また、全体の4分の1が家庭ではなく、量販店などのフロアにある展示販売コーナーや、宿泊施設、温泉施設などに設置された機器で起きていることが判明した。