心血管代謝疾患のある男性は仕事のストレスに注意(depositphotos.com)
糖尿病や心臓病、脳卒中の既往歴などをもつ男性にとって、ハードな仕事でストレスを抱え込むのは、健康によくないようだ――。
心血管代謝疾患のある男性は、仕事で負担がかかると、こうした疾患のない男性と比べ、早期死亡リスクが高まる可能性のあることが、英国での最新研究で示された。詳細は『The Lancet Diabetes & Endocrinology』(2018年6月5日オンライン版)に掲載されている。
多くのガイドラインでは、糖尿病や心臓病の患者は「仕事のストレスを管理することが必要」とされているが、推奨のエビデンスレベルは低い。
英ロンドン大学公衆衛生学部教授のMika Kivimäki氏らは今回、IPD-Work Consortiumに登録のコホート研究7件のデータを使い、フィンランド、フランス、スウェーデン、英国の成人男女10万2633人を対象に、心血管代謝疾患の有無で分けた上で「仕事のストレスと死亡率」の関連を調べた。
「職業性ストレス」は死亡率が68%も高い
Kivimäki氏らは仕事のストレスの中でも、「職業性ストレス(=仕事の要求度が高いが裁量権が小さい)」と「努力と報酬が不釣り合いなストレス(=努力に見合った報酬が得られない)」の2つのタイプに着目。
心血管代謝疾患の有無は、研究開始時点(1985~2002年)の質問票への回答から判断した。
研究開始時点では、対象者のうち3441人が心血管代謝疾患にかかっており、平均13.9年の追跡期間中に3841人が亡くなった。
そして、社会経済的状況や高血圧、肥満、喫煙状況などの生活習慣因子で調整して解析した結果、心血管代謝疾患を有する男性では、「職業性ストレス」がある人のほうが、年齢調整した死亡率が68%高いことが分かった。