休暇のリフレッシュ効果は長続きしない
6月29日に参院本会議で可決・成立した「働き方改革関連法」。同法の「高度プロフェッショナル制度」に野党が強固に反対し続けたのは、労働基準法等改正によって「長時間労働」が是正されるどころか、「過労死や過労自殺を助長する」可能性が高いからだ。
日本には「勤労」を美徳とする風土が根強い。それは決して悪いことではないが、「過労死」や「過労自殺」を招いては意味がない。
労働基準法等改正によって「時間外労働の上限規制の導入」や「長時間労働抑制策・年次有給休暇取得の一部義務化」「勤務間インターバル制度の普及促進(労働時間等設定改善法改正)」なども盛り込まれたが、勤労は美徳であり、働きがいを生きがいにしている日本人は少なくない。
もちろん多くの労働者は、休暇を取ることが仕事のストレスから解放され、活力を回復するのに有効な手段となることは知っている。
しかし、休暇明けに訪れる「反動」を恐れている人も多いのでは?
米国心理学会(APA)が6月27日に発表した「仕事と幸福感に関する調査(Work and Well Being Survey)2018」によると、労働者の6割以上は、こうした休暇によるリフレッシュ効果は、仕事に戻って数日以内に消え去ってしまうと感じていることが分かったという。
なるほど、だから日本人は「働き虫」になることを好むのか!?
4割が数日で「休暇の効果は消え去った」
この調査は、APAが調査会社のHarris Poll社に委託し、2月15日~3月1日にかけて、米国在住のフルタイムやパートタイムなどで働く成人1512人を対象にオンライン調査を実施したものである。
調査の結果、労働者の多くは、休暇を終えて仕事に戻った時点で、休暇によりポジティブな効果を得られていた。
たとえば「前向きな気分になれた(68%)」「活力に回復した(66%)」「やる気が向上した(57%)」「ストレスが軽減した(57%)」といった気持ちの変化に加えて、「生産性が向上した(58%)」「仕事の質が向上した(55%)」などの回答も見られた。
その一方で、休暇によるこれらの効果は長続きしないことも分かった。仕事に復帰すると、回答者の40%は「数日以内」に、24%は「復帰後すぐ」に、休暇の効果は消え去ったと回答していた。