インタビュー「脳卒中後遺症の機能回復・再発予防専門のジム」前編:株式会社P3代表・中村尚人(理学療法士)

脳卒中の後遺症 機能回復・再発予防専門トレーニング「リハジム」とは?

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訓練効果は時間と比例する

 リハビリ訓練は、やればやるほど、時間が長ければ長いほど、効果があると中村氏は説く。

 「でも、今の診療医療の保険の中では、『1つの科目が40分まで』と決められている。おかしいと感じました。だからこそ、本当にいいものをやりたいなら、保険外でやるしかないって結論に達したんです。治る可能性のある人たちが、きちんとしたリハビリを行えないのはイヤだって。一番いいものをここで提供したいって」

 こうして脳卒中や脳梗塞の後遺症を持つ人を対象とした、再発予防専門トレーニング施設「リハジム」が誕生する。

 「脳梗塞は再発率が10年間で50%ですよ。再発防止のためにここでできることは、血流を上げること。運動をしましょうっていうことなんです。再発のリスクをここで減らしましょうって」と中村氏は語る。

 後遺症患者に対し、医師たちの多くは「適度な運動をしなさい」と声をかけるというが、これに対しても「適度に運動しなさいって言っても、麻痺がある人が適度な運動って難しいんです。外に出ても危ないし、ジムに行っても何もできない」と反対の意見を唱え、「ここなら脳卒中、脳梗塞の人しかいませんし、専門的な知識を持ったスタッフもいて、安心して、より効率的な運動を行うことができる」と「リハジム」の存在意義を明確にする。

「リハジム」のサービス

 機能を回復させるだけでなく、再発予防にも力を入れ、脳卒中の後遺症を持つ利用者のQOL向上にも協力する。

 中村氏は「喫煙している人がいたら禁煙、食事面で普段、動物性タンパクの摂取が多い人なら植物性タンパクを薦めたり。あと、ストレスがある人ならストレスを減らしましょうって話すんです」と笑顔を見せる。コミュニケーションはそもそも得意だという。

 利用者に対しては、初回、約60分のアセスメントを行う。

 「歩き方を動画で撮ったり、姿勢のチェックをしたり、血圧を計ったり……。麻痺のチェックをするんです。施設オリジナルのチェック表に基づいて問診し、骨格など相手の身体の状態の確認、姿勢・歩き方の評価等を行った上で、いろいろな問題点をきちんと明確にして、その人に最適なトレーニング、プログラムを作るんです」と話す。

 「リハジム」にはベンチプレスやミストサウナなどが設置され、強制的に麻痺側を使わせる「CI療法」と特定の動きを繰り返す「促通反復療法」の二つのメソッドを取り入れ時間の制限なく行うことができる。プログラムにはもちろん目標設定やゴールを設定する。

 「基本はショートタイムゴールというのを3カ月に設定して、ロングタイムゴールというのを6ヶ月で設定して取り組みます。例えば杖で階段ができるようになりましょう、何メートルをこのスピードで行きましょうとか、それを3カ月ショートでやりましょう、って。できたら、3カ月ごとにもう一回アセスメントをする。トレーニングに関しては基本的には強制はしないです。選んでくださいという方式で進めます」と紹介してくれた。

 次回はそんな「リハジム」に対する中村氏の今後の展望や問題点について、さらに詳しく話を聞く。
(取材・文:名鹿祥史)

中村尚人(なかむら・なおと)
株式会社P3 代表取締役
理学療法士取得後、慈恵医科大学付属第三病院、柏病院、永生会クリニック、さらに老人保健施設や訪問リハビリでケアを経験後、ポールスターピラティスやヨガアライアンスを修了。2010年八王子市にヨガ・ピラティスのスタジオTAKT EIGHTをオープン。その後、予防運動研究会、予防医学を実現する㈱P3などを設立。14年には、一般社団法人日本ヘルスファウンデーション協会、18年にはリハジムを開設。
著書は『ヨガの解剖学』『50歳からはじめるヨガ&ピラティスの教科書』『図解YOGAアナトミー:筋骨格編』『実年齢より10歳若返るシンプルな7つの方法』など多数。

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