22歳で亡くなった「EXILE TRIBE」所属の中尾翔太さん(画像は所属事務所による公式プロフィールより)
「EXILE TRIBE」に属するパフォーマー集団「FANTASTICS」のメンバー、中尾翔太さんが7月6日、胃がんのために亡くなったと報じられた。まだ22歳の若さだった。
中尾さんは今年3月、胃がん治療に専念するために活動休止を公表していた。それからわずか4カ月後の訃報に、多くのファンや関係者が悲しみに暮れているだろう。
中尾さんはスキルス胃がんだった?
胃がんは部位別死亡数で、男性では2位、女性では4位、全体では3位と、「死亡数が多いがん」だ(2016年厚生労働省人口動態統計による)。
ただし近年、胃がんによる死亡率は、他のがんに比べて大きく減少している。これは、胃がんリスクを上げるピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ)の感染率の低下や、高塩分食品の摂取が減ったことなどが要因とされている。
胃がんは、加齢とともに発症率や死亡率が高くなり、若年層にほとんど見られない。中尾さんのように20代で胃がんで亡くなるのはまれなケースだ。厚生労働省のがん検診指針でも、肺がんや乳がん、大腸がんは「40歳以上」に検診が推奨されているのに対して、胃がんは「50歳以上」と年齢が高く設定されている。
ただし、胃がんの中でも、しばしば若年層にも発症し、進行が早いために治療が非常に難しい、やっかいながんがある。「スキルス胃がん」だ。
中尾さんも、胃がん治療のための活動休止が公表された後、激やせした写真を見たファンから「進行が早いのでは?」「スキルス胃がんではないか?」との憶測がネットでは囁かれていた。
スキルス胃がんは、胃がん全体の1割前後とされる。胃がんの多くは、がん細胞が塊を作り、一部にまとまって増殖していく。しかし、スキルス胃がんは塊を作らず、バラバラに広がっていく性質があり、胃の壁の中をしみこむようにがん細胞が浸潤していく。
胃粘膜の表面にあまり変化が現れないため、内視鏡検査での発見が難しく、腹膜播種(腹腔内にがん細胞がばら撒かれるように飛び火する)という特徴的な転移の仕方をする。
スキルス胃がんと診断がついた時点で、すでに「がん転移」していることが多く、切除による摘出が困難で、治療予後がきわめて悪い。中尾さんの胃がんの種類については公表されていないが、発症年齢からスキルス胃がんであった可能性も否めないだろう。