こまめな水分補給が疲労を救う
当サイトの「(西城秀樹さんの訃報で振り返る~ヘビースモーカーが招いた脳梗塞)」でも触れたとおり、健康に過信があった西城さんは「水を飲まずに入るサウナの常連」。おまけに「1日3箱以上のヘビースモーカー」だった。
結果、2度の脳梗塞に見舞われ、苦い日々を悔いながら、常々「健康に自信がある人ほど、もう一度自分の生活や体にチェックしておくほうがいい」と推奨。繰り返していた助言は、「こまめに水を飲むこと」というものだった。
現在、経口補水液のCMに出演中の所ジョージさんも罹患したとの報道もあり、近年は「熱中症の怖さ=水分補給の大切さ」という認識もずいぶん浸透してきた感がある。
だが、体内の水分不足は、話題の脳梗塞のほかにも心筋梗塞など、さまざまな健康障害のリスク要因となることを、どれだけの人がご存じだろうか?
「だるくて眠かった。すっきりしない状態が1カ月くらい続き、ある日サウナで脱水状態で発症した」(ラジオ番組で最初の発症前後を述懐した西城さんの談話)
脳梗塞の発症で最も多い時間帯が「夜間から早朝にかけて」だという。就寝中のヒトは水分を採らないため、それが脱水傾向を生むと見られている。「水を飲まずに入るサウナの常連」だった西城さんは自ら、そんな悪状態を呼び込んでいたのではないだろうか。
20%の水分減で死に至る
加えて編集部では、西城さんの最初の発症時期(6月)と再発の時期(12月)に注目した。というのも、脳梗塞の発症は年間を通じて、これからの季節、つまり「脱水を生む夏」と、意外にも対照的で「寒さから体を動かさなくなる冬」に多いからだ。
厚生労働省が推奨する水分摂取量は、平均で1日当たり「2.5リットル」。よく「大きいほうのボトルを買ってきて!」などと言われるのが1リットル、外出時のコンビニで売れ筋なのが530~555mlなので、何本飲むか考えれば、推奨量の多さがわかるはずだ。
意識した途端に「1日に2.5リットルなんて飲めるのか!?」と思われるる方も多いだろう。だが、これまでの暮らしに「目覚めの1杯」と「寝る前の1杯」、つまりコップ2杯分の水飲み習慣を加えるだけでも、脱水症状や脳梗塞、心筋梗塞などの健康障害リスクは下げられるそうだ。
汗をかいたら当然のこと、「起床後」「入浴(前)後」「就寝前」の習慣化を心がけよう。
ちなみに、成人男性の場合は体の約60%、幼児の場合は約76%までが水分だ。そして体の水分が5%失われると「熱中症」や「脱水症状」が現われる。さらに10%失われると「循環不全」や「筋肉の痙攣」が……。20%の水分が失われると、もはやヒトは死に至る。
「スマホより携帯しよう水筒を」――。これは第2回「健康のため水を飲もう川柳」(主催:「健康のため水を飲もう」推進委員会)の最優秀作品に選ばれた会社員・房稔さんの傑作。これからの季節、西城秀樹さんの助言「こまめに水を飲むこと」と一緒に、唇に記憶させておきたい標語だろう。
喉の渇きを感じて(すでに脱水が起きて)からの水分補給では遅すぎる、ともいわれる。だが、「喉が渇いたからこそ飲む」という習慣をなかなか直せない方も少なくない。ならばメールチェックの度に飲んでみるのも、スマホ世代には一案かも。
(文=編集部)