オーガニックのタンポンでも……菌が増殖してトキシックショック症候群(TSS)

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菌の増殖は素材ではなく空気が関与?

 

 「本当に自然素材のタンポンのほうが安全なのだろうか?」という疑問から、Lina氏らが実施したのが今回の研究だ。

 同氏らはこの研究で、現在販売されている11種類のタンポンと4種類の月経カップを集め、実験室でそれぞれの製品について黄色ブドウ球菌の増殖や毒素の産生の程度を調べた。

 その結果、タンポンの素材に使われている繊維の種類は、黄色ブドウ球菌の増殖や毒素の産生には影響しないことが明らかになった。ただ、「繊維床(fiber bed)の構造の違い」が重要である可能性が示された。

 Lina氏は「繊維と繊維の間に空間があると腟内に空気がたまりやすく、黄色ブドウ球菌が増殖して毒素が産生される温床となることが顕微鏡下で観察された」と米国微生物学会(ASM)のプレスリリースで説明している。

 一方、一部の女性がタンポンの代わりに使用している月経カップも、TSSに関与していた。Lina氏によると、月経カップは生理用ナプキンと比べて黄色ブドウ球菌の増殖や毒素の産生がより促されやすいという。

 同氏は、その原因として、月経カップでは黄色ブドウ球菌の増殖に必要な空気が入り込みやすいこと、また、カップ内に黄色ブドウ球菌のバイオフィルムが形成され、簡単に殺菌できない構造であることを挙げている。

 今回の研究結果を踏まえ、Lina氏は「コットンとレーヨン(ビスコース)、あるいはレーヨンのみを素材とするタンポンと比べて、オーガニックコットンのみが素材のタンポンのほうがより安全だとする仮説を裏付けるものはない」と結論づけている。

TSSのリスクを知り頻繁に取り替えを

 TSSが極めてまれな病態であることに変わりはなく、米疾病対策センター(CDC)によると、発症率は100万人当たり1件に満たない。しかし、専門家らは「女性はTSSのリスクについて理解しておく必要がある」と強調している。

 専門家の一人で米レノックス・ヒル病院の産婦人科医であるJennifer Wu氏は「腟内に挿入するタイプの生理用品を使用している全ての女性がTSSについて認識しておくべきだ」と指摘している。

 生理用ナプキンにつきものの、デリケートゾーンのかゆみ、蒸れ、横漏れなどのお悩みや使い心地の悪さに比べ、膣内に挿入するタンポンや月経カップ愛用者からは、「それらの悩みとは無縁で楽」という声も聞かれる。

 しかし、「オーガニック」あるいは「100%コットン」のタンポンや月経カップでも、TSSのリスクがあることをしっかり頭に入れ、タンポンや月経カップは頻繁に取り換えよう。
(文=編集部)

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