果汁100%のフルーツジュースはヘルシーか?米国小児学会は「乳児にジュースを与えない」よう明言

この記事のキーワード : 
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

ジュースはコップで飲ませること

 ジュースを与えることが絶対にダメというわけではありませんが、ジュースはヘルシーな飲み物ではありません。嗜好品の一つとして考え、飲ませすぎないようにするのが良さそうです。

 生後6カ月頃になって果物を食べさせたい時は、ジュースではなく果物をつぶして、繊維質を含んだ果肉ごと与えましょう。1歳を過ぎて、どうしてもジュースを与えたい場合は、例えば食事で外出した時、お友だちの家に遊びに行った時など、特別な日に1日110ml(4オンス)以下の量を与えるようにしましょう。

 アメリカ小児学会の提言では、ジュースはコップで飲ませることが勧められています。哺乳瓶や蓋つきのストローマグなどに入れてジュースを持ち歩くことは、日常的に水分補給としてちょこちょこ飲むことにつながり、虫歯の原因になるというのが理由のようです。ストローマグだと110mlくらい、あっという間に飲み干してしまう子も多いかもしれません。水分補給は水か麦茶にして、ジュースはおやつなど、決まった時間にコップで少量飲むくらいがちょうどいいということですね。

 また、ソーダ類やフルーツ飲料、甘い紅茶など、砂糖の入った飲み物はさらに避けたほうが良いでしょう。 乳児期に砂糖の入った飲み物を飲ませると、6歳の時点での肥満が増えたという研究や、虫歯が増えたという研究もあります。

子供が胃腸炎の時は例外的にOK

 例外として、砂糖の入った飲み物が勧められているのは、胃腸炎の時です。

 下痢や嘔吐がある時の水分補給としては、経口補水液が良いと言われています。フルーツジュースはナトリウムが少なく、種類や飲む量によっては糖分が吸収しきれないことがあります。吸収されなかった糖分が大腸で発酵されてガスを発生させたり、下痢を引き起こすかもしれません。この原理を逆手に取って、フルーツジュースを便秘の治療に使う場合もあるようです。

 しかし最近では、軽度の脱水であれば、経口補水液よりもりんごジュースを水で倍に薄めたものが優れているという研究結果もあります。

 カナダのカルガリー大学では、2010年から2015年にかけて、6カ月から5歳の子ども648人を対象に研究が行われました。胃腸炎でごく軽度の脱水のある子どもを2グループに分け、一方のグループでは経口補水液だけを水分補給に使うようにし、もう一方のグループでは倍に薄めたりんごジュースをまず飲ませ、退院後は好きなものを飲ませるようにしました。

 すると、再受診や点滴などが必要になった割合は、経口補水液のグループが25%、りんごジュースと好きな飲み物のグループが16.7%で、りんごジュースと好きな飲み物グループのほうが優れていたのです。この傾向は、特に2歳以上の子どもで強いことがわかりました。

 この論文のメッセージは、りんごジュースが優れているということではありません。軽度の脱水であれば、飲めるものを飲むことが大切だということです。経口補水液を飲めるのであれば、それに越したことはありませんが、大人でもあの薄しょっぱい味が苦手という方はいらっしゃるのではないでしょうか?

 ジュースに含まれる糖分の種類を考えると、りんごや梨、プルーンジュースは下痢を起こしやすいタイプのジュースですが、この研究ではりんごジュースで問題ないという結果になっています。りんごに限らずオレンジジュースでもぶどうジュースでも良いと思います。経口補水液をあまり飲まない場合には、ジュースを倍に薄めて飲ませてみるのを試してみてください。
(文=森田麻里子)

森田麻里子(もりた・まりこ)
南相馬市立総合病院麻酔科医師、子供の睡眠コンサルタント。2012年、東京大学医学部卒業。2012年、亀田総合病院での初期研修を経て、2014年、仙台厚生病院麻酔科、2016年より南相馬市立総合病院麻酔科に勤務。

(1)Heyman MB, Abrams SA, Section On Gastroenterology H, Nutrition, Committee On N. Fruit Juice in Infants, Children, and Adolescents: Current Recommendations. Pediatrics. 2017;139(6).
(2)Gibson SA. Non-milk extrinsic sugars in the diets of pre-school children: association with intakes of micronutrients, energy, fat and NSP. Br J Nutr. 1997;78(3):367-78.
(3)Smith MM, Lifshitz F. Excess fruit juice consumption as a contributing factor in nonorganic failure to thrive. Pediatrics. 1994;93(3):438-43.

医療ガバナンス学会発行「MRIC」2018年5月8日転載

胃の不快感の多くは実は「機能性ディスペプシア」という病気
日本初の『胃弱外来』開設」後編:巣鴨駅前胃腸内科クリニック・神谷雄介院長

前編『大病院を転々した末にたどり着く「胃弱外来」 初診から約1カ月で8割の患者の症状が改善』

胃痛やもたれ、むかつきなどの症状があっても、検査の結果異常がないと診断され悩みを抱える患者さんが少なくない。こうした胃の悩みを抱える人たちのために開設したのが胃弱外来。患者さんの多くは新しく認知された『機能性ディスペプシア』や『胃食道逆流炎症』などの疾患だ。その具体的な治療法について話を伺った。

Doctors marche アンダカシー
Doctors marche

くにたち駅前眼科クリニック院長。1986年、東京…

高橋現一郎

近畿大学理工学部生命科学科ゲノム情報神経学准教授…

西郷和真

フィットネスアドバイザー。JT東京男子バレーボー…

村上勇