難聴の人は余暇の時間の事故に注意!
それぞれに事故が起こったタイミングを「仕事中」「余暇活動中」「運転中」に分けて解析を進めると――ならば「運転中」が首位だろうと思いきや、聴力の低下はとりわけ「余暇活動中」の事故による負傷リスクにより強く関連してる傾向が判明した。
この意外な(?)結果について、研究主導者のBhattacharyya氏はこう述べている。
「たしかに、余暇を負傷リスクの高い機会として捉える人は少ないと思われる。しかしながら、聴力低下による負傷が最も多い状況が余暇活動中だったという事実は注目に値する結果だろう」
実際のところ米国では、医療機関で提供される治療のうち、事故による負傷治療の占める割合が高いという現状がある。また、事故による負傷は、米国民の「主要な死因」でもあり、米国疾病対策センター(CDC)の公表によれば、2011年に死亡した人の死因の5%を締めていた。
難聴のリスクは「1日当たり85dB以上」だが……
世界保健機関(WHO)は「難聴リスクのある騒音レベル」を「85dB(自動車、街頭の騒音)」以上とし、1日当たりの許容範囲(音の大きさ×音にさらされる時間)を具体的に示しているが……。
上記の「85dB」の基準範囲は「8時間」だが、たとえば「115dB(ポップ音楽コンサートなど)」は「28秒」、あるいは「100dB(ドライヤーやパワードリルなど)」は「15分」となる。
ありがちな日常場面での許容例を知ると、その短さに驚く。音楽フェス好きの人などは、この夏から余暇の過ごし方(音浴の度合い)を見直すべきかもしれない。
今回の研究成果を踏まえBhattacharyya氏らは、斯界への主張/提言をこう示す。
「難聴の検査や治療は今日、広く普及していると思う。だからこそ難聴を、事故による負傷の予防可能なリスク因子とみなすべきだろう」
このGWも、隣家に気兼ねしつつ、せっかくの余暇だから自宅でもイヤホン視聴で音楽三昧。さすがに終盤は聴力のすり減り感さえ覚えた、なんて方もおられるかもしれない。次の余暇も事故知らず、クリアな音楽ライフを堪能するためにも、たまには耳にも休息を!
(文=編集部)