「耳を回す」と不快な歯痛が改善!
耳たぶを引っ張って回すことで血行がよくなり、過度に緊張している顎周辺や側頭部の筋肉をゆるめることができるという。実際に患者に指導したところ、慢性的な歯や顎の痛み、さらには偏頭痛や肩凝りなども解消しているそうだ。
「面白いことに、噛みしめの問題がない人は、耳を回しても、ぜんぜん痛くないものです。ところが、噛みしめが習慣化している人は、かなり強い痛みを感じます。けれど、続けているうちに、耳の周辺や頭の中心あたりがポカポカと温まり、心地よくなってくると思います。口が開きやすくなる感覚を覚える人も多いです」(山嵜院長)
「『耳回し』は虫歯の予防にも有効です。噛みしめ癖がある人は、歯に余計な負担がかかって、歯の表面に傷ができたり、歯と歯ぐきの境目が削れたりします。そこから細菌が侵入しやすいため、虫歯にもなりやすいのです。ですから、口腔ケアの一環として『耳回し』を行うのもいいでしょう」(山嵜院長)
●「耳回し」のやりかた
慢性的な歯痛に試してみたい「耳回し」
①椅子に腰かけてリラックスし、両耳の耳たぶを左右の手の親指と人差し指で軽くつまむ。
②両耳の耳たぶを同時に時計回りに回す。上や下に引っ張るのでなく、大きく円を描くようにするのがコツ。ゴリゴリ、カチカチといった音が聞こえたり、痛みがあったりする場合、無理のない範囲で回す。1秒に1回転くらいの速さで、大きく回す。1回30秒程度が目安。
③慣れてきたら、回す早さを速くしたり、遅くしたり変えてみるのもいい。反時計回りや、耳の上部や真ん中を持って回すのも効果的。
虫歯でもないのに慢性的な歯痛に悩まされている人は、ぜひ試してほしい。
(取材・文=山本太郎)
山嵜智浩(やまざき ともひろ)
日本大学歯学部卒業。2010年、東京都東大和市にかしの木歯科医院開業。「抜かない・削らない・痛くない」をモットーにした診察を行っている。