本能で楽しむ医療ドラマ主義宣言! 第2回

『アンナチュラル』を検証!一酸化炭素中毒死と凍死の見分け方とは

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なぜCO中毒死と凍死を判別できたのか?

 さらに、練炭自殺といえば一酸化炭素中毒です。一酸化炭素は空気より軽く発生場所より上の階の居住者も被害を受けることもあるものです。

 医療従事者にとって常識になっていますが、劇中のセリフにもあるように、一酸化炭素中毒のご遺体はサーモンピンク色で綺麗なのです。それは一酸化炭素と結合した赤血球が綺麗な赤みを帯びるため、顔色が良い遺体になるのです。

 一酸化炭素はヘモグロビンに対し酸素の250倍もの親和性があるために、肺から体に入るとCOヘモグロビンとなります。このCOヘモグロビンは組織を壊し、血管内の水分が周りの組織へしみだしていきます。

 すると脳浮腫からの意識障害、肺は水浸しになり、腎不全、心不全となって死に至るのです。これがミコトが言っていた、意識はあるのに体が動かない状態…でしょうか。

 このCOヘモグロビンが死斑を鮮紅色にするのです。凍死など寒い中にいた死体、青酸中毒死体では死斑が鮮紅色を示すこともあるそうですが、その場合、臓器は暗赤色になるため判別が可能になる…との事。

 今回の心臓内の血液で見事に診断をつけましたが、CO中毒なら右心室と左心室の血液は両方とも鮮紅色のはずである、という事ですね。CO中毒は法医解剖では診断しやすい症例だからか、細かい説明をしなくてもドラマでもわかりやすかったですね。

 次はどんな題材なのか・・・、なぜか私の中で闘争心がふつふつと湧いてきます。

 さてさて、来週は記録係の久部(窪田正孝)君が怪しくなってきましたね。ミコトにちょっと心を奪われ、UDIの皆の正義感あふれる働きに心揺さぶられている様子! 


『アンナチュラル』を検証!一酸化炭素中毒死と凍死の見分け方とはの画像2

井上留美子(いのうえ・るみこ)
松浦整形外科院長
東京生まれの東京育ち。医科大学卒業・研修後、整形外科学教室入局。長男出産をきっかけに父のクリニックの院長となる。自他共に認める医療ドラマフリーク。日本整形外科学会整形外科認定医、リハビリ認定医、リウマチ認定医、スポーツ認定医。
自分の健康法は笑うこと。現在、予防医学としてのヨガに着目し、ヨガインストラクターに整形外科理論などを教えている。シニアヨガプログラムも作成し、自身のクリニックと都内整形外科クリニックでヨガ教室を開いてい。現在は二人の子育てをしながら時間を見つけては医療ドラマウォッチャーに変身し、joynet(ジョイネット)などでも多彩なコラムを執筆する。

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