寝る前のスマホ・ゲームが及ぼす影響は……
こうして就寝時の電子機器の使用とBMI(Body Mass Index:体格指数)、睡眠と注意力への影響を分析した結果、「【1】就寝時にテレビ視聴したりスマホ使用をする子」の場合、「【2】それらをしない子」に比べて、「過体重」「肥満」になるリスクが2倍以上と認められた。
他にも【1】と【2】の子どもたち同士の比較においては、下記のような違いが示された。
●テレビ視聴やビデオゲームに興じる子どもは【2】よりも一晩の「睡眠時間が30分短い」
●スマホやコンピュータを就寝時使用する子どもは【2】よりも「睡眠時間が1時間短い」
●コンピュータを就寝時使用する子どもの場合、「寝つきが悪い傾向」が認められる
●ビデオゲームを就寝時使用する子どもの場合、「すぐに目が覚めてしまう弊害」を抱えている
『Global Pediatric Health』(オンライン版・2017年10月27日付)に掲載された研究陣の知見によれば、「就寝時に電子機器を使用する子の場合、朝に疲労を感じやすく、朝食をとらない傾向が多くみられた」という。
一方、「注意力への影響は特に認められなかったものの、こうしたタイミングでの電子機器使用が睡眠の質にも悪影響をおよぼしている点は明らかである」と言及している。
同論文の主筆者である同医学部のCaitlyn Fuller氏らの調査によれば、米国の小学校5年生までの小児のうち「約4割」が自分専用のスマホを所有しているそうだ。
なりたい職業「ユーチューバー」~小学生の「携帯・スマホ所持率」6割
一方、神奈川県教育委員会が一昨年に調査したところによると、「小学生の携帯・スマホ所持率」は6割を超えていた(2012年比で約2割増)。中高生においてはスマホ所持率は伸びる一途で、中学生が7割、高校生で9割が所持していた。
さらに小学生女児を対象に実施された『子どもライフスタイル調査2016春』(KADOKAWAアスキー・メディアワークス/角川アスキー総合研究所調べ)の集計結果によれば、スマホの利用用途の80.3%が「ゲーム」と答え、次いで「動画視聴」が51.3%を占めていた。
「親がわが子にスマホなどの電子機器を与える際には、年齢に相応しい使い方について小児科医に相談することを推奨したい」(前出・Fuller氏)と専門家から助言されても、機種選び以上の興味を寄せる親はほぼ皆無というのが現実だろう。
それでも「もし、わが子に十分な睡眠をとらせたいのであれば、ベッドに入る前にこれら電子機器の電源は切るようにしつけ、枕元にスマホを置かせるような習慣づけは決してしないことである」とFuller氏は警告する。
折しも2018年、マクロン政権下のフランスでは9月から「学校内でのスマホ使用」が禁止される(=大統領選の公約)。そんな先進国の流れに対して、近視大国ニッポンの未来はどうなるのか?
なりたい職業として「ユーチューバー」に憧れる時代の子を持つ親にとって、心掛けるべき健康管理のひとつが、就寝前の「スマホ・デトックス」だと憶えよう。
(文=編集部)