スマホ中毒で「手根管症候群」のリスク(depositphotos.com)
スマートフォン(以下、スマホ)の長時間使用が原因で、指が変形したり、痛みや痺れを覚えた場合の俗称「テキストサム損傷(text thumb injury)」という言葉をご存じだろうか?
親指(thumb)に象徴させるのは、欧米特有の傾向でゲーム機やスマホは両手で持って左右の親指で文字入力する利用者が多いから、このような名称になった。
しかし、今回の研究報告は「香港発」と聞いて、それはそれでスマホ使用頻度(=過度なテキスト打ち)の濃厚さを連想してしまうのは一種の「印象操作」、いや先入観のなせる業だろうか――。
それでも香港理工大学医療技術・情報学部のPeter White氏らが小規模ながら、このような研究に着手した背景には、やはり懸念すべきスマホ依存症の社会事情があるのだろう。
「手根管症候群」のリスクが高まる可能性
香港の大学生48人を被験者とするWhite氏らの研究解析によれば、スマホやタブレット端末やゲーム機などの携帯用電子デバイスを長時間使用した場合、手指に痛みや痺れをもたらす「手根管症候群」のリスクが高まる可能性が示唆された。
この手根管は、文字どおり手の付け根部分に存在し、骨と靭帯に囲まれた狭くて硬い通路を指している。そこには指の曲げを可能にする「腱」や、前腕から手のひらまでを巡っていくつかの指に感覚を与える「正中神経」が走行している。
この神経が長時間操作などで頻繁に圧迫された場合、手指の疼痛や痺れ、握力低下や時には刺すような痛みに襲われるのだ。
これらの症状を総称して「手根管症候群」と呼んでいるが、はたして携帯デバイス類の日常的な使いすぎが、どの程度まで関連しているものなのか?