<ダイエットのために不健康>という矛盾
米ニューヨーク大学メディカルセンターのSamantha Heller氏(臨床栄養士)も、急速な体重減少に伴う極度のカロリー制限は「思わぬ問題を招く可能性を否めない」と懸念を。むしろ「減量を試みる人にフラストレーションを感じさせるだけの場合もある」と指摘する。
従来の研究報告でも、体重の増減がくり返されると肥満や心血管疾患などのリスクが高まる可能性が示唆されている――Heller氏はその点にも言及しながら、こう見解を述べた。
「現代人はとかく『減量して痩せたい』『理想的な体型になりたい』という願望に捉われるあまり、<健康を維持する>という本来の、最も重要なことを忘れがち。しかし、減量よりもブロッコリーや枝豆、ピーカンナッツやベリー類などの健康的な食品を摂ることのほうが数段重要だ」
CICOよりもMECの勝ち?
一方、自らの離島医療体験から、独自の「MEC食(肉・卵・チーズ)」を提唱しているのが、こくらクリニック(沖縄県那覇市)院長の渡辺信幸医師である。渡辺氏はかつて離島勤務時代に「沖縄クライシス」の危うさを痛感。沖縄が日本一の肥満県に転落したことを嘆き、ダイエット外来を始めた。
しかし、当初のカロリー制限と運動療法の指導はさほど効果が見られず、「患者さんもストレスで大変」「沖縄の夏の暑さでのウオーキングは危険」という現実を前に、とうとう「運動では痩せない」との結論に至った。
そこで試行錯誤の末、たどり着いた効果的ダイエット法が「MEC食」。痩せるだけでなく、タンパク質をたくさん摂取することで筋肉もつきメリハリのあるカラダになる。
具体的には、<Meat:肉/Egg: 卵/Cheese: チーズ>を一口30回噛みながら、たっぷり食べて結果、炭水化物を控えるというわけだ。
「ダイエット成功のカギは、この2つを実行するだけで可能です。そもそも肥満は『穀物/野菜/果物』に含まれる糖質(炭水化物)の食べ過ぎが原因なので、肉を食べたら太るとか、ダイエットには運動が不可欠というのが間違い」(渡辺医師)
もちろん、早食い習慣の人は「一口30回」も慣れるまでには我慢を強いられるかもしれない。だが、「ケーキも食べ放題←→相応以上の運動量」を謳うCICOよりは確実に健康的に痩せられるだろう。
(文=編集部)