身寄りがいない独身男性が「脳卒中」になると……「介護施設」に入る確率は約3倍!

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男性は身の回りのことをする能力が低い!?

 が、希望が現実によって裏切られるのも世の常。脳卒中後に介護施設への入居を余儀なくされる独身男性陣が多いのは、女性に比べて男性の場合、「一般的に身の回りのことを自分でする能力が低いためではないか」と研究陣は考察している。

 しかも、こうした男女比に日米格差がないことは、第一生命経済研究所の調査報告(2015年)が物語っている。

 これは60~79歳の男女(=有配偶高齢者)を対象に実施されたもの。結果、病気や寝たきりになった際、夫の6割が「(妻が)頼りになる」と回答したのに対し、妻側の同回答はわずか2割止まり。むしろ「(夫は)頼りにならない」と感じている率が42%にも上った。

 もう一度、米国に話を戻せば、Blackburn氏らの見解に同意を示す立場のMaria Torroella Carney氏(米国ノースウェル・ヘルス)も、「昔ながらの伝統的な男女の役割意識が、今回の結果に色濃く影響している可能性を感じる」と述べる。

 そんな前提に加え、「女性は自分自身が介護者側になる可能性も高いから、介護の役割と重要性を理解している。ところが一般的に男性陣はそれを認識していない場合が多いのではなかろうか」とも解説する。

離別・死別後の脳卒中リスクをめぐる男女差は何か?

 転じて、日本の事情はいかに? こんな報告がある。国立がん研究センターや大阪大学などの多目的コホート研究(JPHC研究)によって明らかにされた、「婚姻状況の変化」と「脳卒中発症リスク」との関係性を物語る初の研究成果だ。

 この研究によれば、配偶者と「離婚・死別した人」の場合、「結婚を維持している人」に比べて、脳卒中の発症リスクが(男女にかかわらず)26%も高かった――。

 前者が「心臓病の発症リスクを高める傾向」は、海外の先行研究でも示唆されてきたが、「男女間で脳卒中リスクに違いがない」点は研究班も想定外だったらしい。

 また、離別・死別後に親と同居している非婚者の発症リスクを男女比でみた場合、(既婚男女のリスクを1として)男性陣が0.96なのに対して、女性陣は1.33と高かった……。

 この離別・死別後の脳卒中リスクをめぐる男女差とは何か? ポイントは親との同居にあり、世話役が「妻→親」へと代謝される男性側と、「経済的不安」や「親との同居=介護」という将来像に苛まれる女性側との明暗にあるのでは……と、専門家たちは分析している。

 だが、もっとツラいのはそうやって依存したり、頭を悩ます身寄りの存在さえもなく、不幸にも脳卒中に見舞われた独身男性たちのその後かもしれない。というのが、今回の結論になるだろうか。
(文=編集部)

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