<低FODMAP食>で過敏性腸症候群が改善している
過敏性腸症候群は、欧米やオセアニアでも患者が多く、研究が進められている。
最近話題になったのが、オーストラリアのモナッシュ大学の研究チームが発表した「低FODMAP(フォドマップ)食」と過敏性腸症候群の関係だ。FODMAPとは「Fermentable Oligosaccharides, Disaccharides, Monosaccharides and Polyols(発酵性のオリゴ糖、二糖類、単糖類、ポリオール)」の略語。
つまり、低FODMAP食によって過敏性腸症候群を改善することが科学的に証明されているのだ。
□高FODMAP食の例:リンゴ、スイカ、ドライフルーツ、タマネギ、アスパラガス、ブロッコリー、マッシュルーム、小麦、アイスクリーム、ヨーグルト、ハチミツ、大豆など
□低FODMAP食の例:バナナ、ブルーベリー、レモン、グレープフルーツ、ニンジン、セロリ、ジャガイモ、カボチャ、米、豆腐、砂糖など
糖類の多くは消化酵素で分解され小腸で吸収される。しかし、FODMAPは小腸で吸収されにくいので、そのまま大腸に達する。FODMAPによって大腸内での発酵が進み、過剰なガスが発生。さらに腸の中に水分を引き寄せて、症状を悪化させると考えられている。
ちなみに「ソルビトール」という糖類が含まれている市販の「漬け物」や「味噌」は、FODMAPを多く含む食品に分類される。
以上のことから、過敏性腸症候群に悩んでいる人がヨーグルトや漬け物などを食べると、症状が悪化する可能性が高い。
過敏性腸症候群の人が低FODMAP食を3週間続けると、約70%に症状の改善が見られたという発表がある。過敏性腸症候群と診断を受けた人は、「『心の病』だから仕方がない」とあきらめずに、食事療法に取り組んでみてはどうだろうか。
(文=森真希)
森真希(もり・まき)
医療・教育ジャーナリスト。大学卒業後、出版社に21年間勤務し、月刊誌編集者として医療・健康・教育の分野で多岐にわたって取材を行う。2015年に独立し、同テーマで執筆活動と情報発信を続けている。