米国トランプ(共和党)支持者は「短命」と判明(depositphotos.com)
米国政府の統計に基づけば、1980年以降の米国民全体の「平均余命は5年以上延長」している。ただし、この間の変化を群別にみれば当然、「①10年以上延長した地域」もあれば、「②全く変化が見られない地域」、逆に「③短縮している地域」もある。
そして、こうした地域間における健康格差の様相を、昨年の米大統領選挙の投票率との関連性で研究した興味深い報告が『American Journal of Public Health』10月号に掲載された。
平均余命と政党支持の相関性は?
ドナルド・トランプ氏の勝利で幕を閉じた2016年大統領選だが、その投票率の内訳を追跡調査してみると、上記①②③のような群別傾向が顕著に読み取れたというから面白い。
具体的には、「過去8年間に平均余命が延長した地域」に比べて、トランプ支持の得票率は③群(短縮した地域)で高かった。
つまり、平均余命の延長年数が「全国平均を上回る」群では有権者の過半数がクリントン(民主党)に投票し、逆にトランプ(共和党)票は「全国平均を下回る群」で優勢だったという、対照図が描かれた。
さらに分析陣が、バラク・オバマ(民主党)とジョン・マケイン(共和党)が競った2008年大統領選における投票率の内訳と比較分析してみたら、同じ傾向が読めた。
民主党陣営は「平均余命の延長年数が全国平均を上回る群」で140万票増(「全国平均を下回る群」で500万票減)だった一方、共和党陣営は「平均余命の延長年数が全国平均を下回る群」で310万票増(「全国平均を上回る群」で6.7万票減)と優勢を示していた。
米国公衆衛生協会(APHA)のGeorges Benjamin氏の見解によれば、③群の「平均余命が短い地域」では医療保険の未加入者層が多く、小児肥満の高まりや貧困の広がり、最近ではオピロイド(麻薬性鎮痛剤)の流行も顕著だという。
ただし「こうした問題点を地域の有権者層がはたして<政治的な課題>として捉えているかどうかに関しては、なんとも断定のしようがない」と、Bejamin氏はいう。