激しい疼痛と痺れを起こす、「筋・筋膜性疼痛症候群」に苦しんだかも?
ケネディ暗殺の真相は、54年後の今も闇に閉ざされている。
だが、ケネディが闘っていた持病のエポックは事欠かない。ケネディは、筋・筋膜性疼痛症候群(MPS)の痛みに悩まされたとする記事がある(The Huffington Post 2013年11月22日)。
記事によれば、「筋・筋膜性疼痛症候群(myofascial pain syndrome; MPS)」は、筋肉の異常な痙攣(スパズム)が引き起こす疼痛と痺れを伴う堪え難い筋痛症だ。
歩けない、座っていられない、眠れない。激烈な筋肉の痙攣のため、椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症と誤診されやすい。
筋肉の損傷は、数日~数週間で修復するが、強い冷えや刺激、心身のストレスなどによって血流が滞れば、筋肉が収縮し、疼痛と痺れが慢性化するため、収縮した筋肉にコリコリした索状硬結(しこり)が生じる。
先述のように、ケネディも疼痛と痺れが慢性化していたので、トリガーポイント(押すと強く痛む圧痛点)注射を受けていたのかもしれない。
背部痛、MPS、椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症、アジソン病・・・。ケネディが阿鼻叫喚のような激痛に苛まれつつ、息も絶え絶えに生き存えていたなら、胸が痛む。
ちなみに、MPSについては、MPS研究会のサイト(http://www.jmps.jp/medical/diagnosis)も参考になるかもしれない。本サイトの『虚弱体質のJ・F・ケネディはステロイドの副作用「アジソン病」に苦しんだ』も併せて読んでほしい。
さて、ケネディ生誕100年。一触即発のキューバ危機を回避した。アフリカ系への差別撤廃を推し進め、公民権法を成立させた。アポロ計画は人類の夢を育んだ。ニューフロンティア政策は世界を勇気づけた。ベトナム戦争の介入や、ピッグス湾事件の失策もあった。
しかし、ケネディの笑顔を知る世代の記憶から、暗殺で失った喪失感が消える日は、ついぞ訪れそうにない。
(文=佐藤博)
佐藤博(さとう・ひろし)
大阪生まれ・育ちのジャーナリスト、プランナー、コピーライター、ルポライター、コラムニスト、翻訳者。同志社大学法学部法律学科卒業後、広告エージェンシー、広告企画プロダクションに勤務。1983年にダジュール・コーポレーションを設立。マーケティング・広告・出版・編集・広報に軸足をおき、起業家、経営者、各界の著名人、市井の市民をインタビューしながら、全国で取材活動中。医療従事者、セラピストなどの取材、エビデンスに基づいたデータ・学術論文の調査・研究・翻訳にも積極的に携わっている。