どうして農村部でがん死亡率が高い?(depositphotos.com)
米国では全体的ながんによる死亡率は減少傾向にあるが、農村地域ではわずかな減少にとどまっており、都市部との差が拡大していることを示した研究結果が米疾病対策センター(CDC)発行の「Morbidity and Mortality Weekly Report(MMWP)Surveillance Summaries」7月7日号に掲載された。
研究を実施したCDC国立慢性疾患予防・健康促進センター(NCCDPHP)のグループは、「地理的条件が単独でがんリスクの予測因子となるわけではないが、予防や診断、治療の機会には影響する可能性がある。このことは、米国における重大な公衆衛生上の問題だといえる」と述べている。
日本の死亡率では1位青森県、2位秋田県、3位岩手県と東北の農村地帯
今回、同グループがCDCのがん登録データなどを分析した結果、得られた主な知見は以下の通り。
・がんによる死亡率は都市部に比べて農村地域で高かった。人口10万人当たりのがんによる死亡数は都市部の158例に対して農村地域では180例に上った。
・がんによる死亡率は都市部では年間1.6%の低下が認められたが、農村地域では同1.0%の低下にとどまった。
・全体的ながん罹患率は都市部に比べて農村地域ではやや低く、都市部の10万人当たり457人に対して農村地域では同442人だった。しかし、肺がんなどの喫煙に関連するがんや、スクリーニングによる予防効果が期待できる大腸がんや子宮頸がんなどの罹患率は、都市部に比べて農村地域で高かった。
日本でのがん死亡率(全がん死亡数・粗死亡率・年齢調整死亡率(1995年~2015年)国立がん研究センターがん情報サービス「がん登録・統計」)のトップは青森県、2位が秋田県、3位が岩手県と東北の農村地帯となっている。
さまざまな要素がかかわっているだろが、不思議と今回の調査の結果との相似性が見える。
主ながんでの地理的な傾向も以下のように見られる。
●胃がん・・・東北地方の日本海側で死亡率が高い。
●肝臓がん・・・西日本で死亡率が高い。
●肺がん・・・男性は近畿地方で死亡率が高い。
●乳がん・・・大都市圏および東日本で死亡率が高い。
●白血病・・・九州・沖縄地方で死亡率が高い。