遺伝性の「乳がん」「卵巣がん」の発症リスクが最も高まる年齢は30歳代と50歳代!

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遺伝性乳がんとは?発症の可能性が高いのは20代

 米国がん協会(ACS)のLen Lichtenfeld氏は「従来の発症の確率(累積発症率)よりも精確かつ、現実を反映した推定値だ。『卵巣を摘出したくない』と願う女性も、『もっと早く摘出しておけば良かった』と後悔する女性もいるが、どのような選択肢があり、どのような結果がもたらされるかを冷静に判断するのに役立つ」と語る。

 ただ、「乳がんの家族歴のない女性が遺伝子検査を受けるべきか否か」については、議論がある。家族歴も既往歴もないなら、BRCA1/2遺伝子変異陽性の確率は極めて低いとされるものの、例外もあるので、検査対象を広げるべきとする専門家の定見もある。

 6月23日、乳がんと闘病中だった小林麻央さん(34)が亡くなった。遺伝性乳がんと報道されたが、遺伝子検査の結果、「BRCA1/2の変異は陰性で、遺伝性乳がんではなかった」と自身のブログで否定している。

 また、2013年2月、米国の女優アンジェリーナ・ジョリーさんが予防のために健康な乳房を切除した。そもそも「遺伝性乳がん」とは何だろう?

 多くのがんの主因は、喫煙や過度の飲酒などの生活習慣、紫外線や放射線、化学物質などの環境要因や老化だが、乳がん患者のおよそ5~10%は「BRCA1/2遺伝子変異」が原因で起こる「遺伝性乳がん卵巣がん症候群(HBOC)」だ。

 欧米人を対象にしたデータによれば、「HBOC」の人は、一生のうちに乳がんを発症するリスクは一般人の約10倍。治療後、温存した乳房に新たながんができたり、対側乳がんを発症したり、卵巣がんにかかるリスクも高い。

 昭和大学の中村清吾医師によると、一般的に乳がんは45歳以上に多いが、「HBOC」の人は若いうちに発症しやすく、特に「BRCA1遺伝子変異」では75%が50歳未満、25%が40歳未満に発症していることから、20代の発症は遺伝性が強いととしている(参考:「小林麻央さんが否定した「遺伝性乳がん」とは? 発症リスク10倍、父娘遺伝も…」よりhttps://dot.asahi.com/dot/2017062300062.html)。

家族歴をできるだけ正確に医師に伝え、遺伝子カウンセリングを受けることが賢明

 日本人の乳がん患者は、およそ9万人――。

 乳がんも卵巣がんも、早期発見すれば治療できる。家族が同じ変異を持っているなら、BRCA 1/2遺伝子検査は予防医療の重要な選択肢になる。

 ただ、BRCA1/2遺伝子検査は健康保険適用外のため、およそ20万~30万円の費用がかかる。家族歴をできるだけ正確に医師に伝え、遺伝子カウンセリングを受けることが賢明だ。

 なお、BRCA1/2遺伝子変異は男性にもあり、男性乳がんや前立腺がんを発症する。父から娘に受け継がれて乳がんや卵巣がんにかかることもある。

 「遺伝性乳がん卵巣がん症候群(HBOC)」についての詳しい情報は、特定非営利活動法人 日本HBOCコンソーシアム(http://hboc.jp/)を参照してほしい。
(文=編集部)

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