「医療費無料」を知らないケースも
大阪府や長野県など、他の地域でも各保険医協会が同様の調査を行ったが、似たような傾向があるという。保険医協会の担当者は「共働きや貧困などで、子どもの歯をケアしたり、歯科を受診させたりすることができない家庭もある。学校で個別に家庭状況を把握したうえで指導することが必要だ」と述べている。
こうした健康格差は、保健医療の知識差よりも、知識を行動に移せるだけの時間的・経済的な生活の余裕の差から生まれている部分が大きいといわれている。
さらに、ほとんどの自治体では中学生以下の医療費無料が制度化されているが、その制度を知らずに経済的な理由から歯科を受診させていないケースも考えられるという。
厚生労働省は先日、生活保護を受ける家庭の子どもに虫歯や肥満が多いことから、自治体を通じた健康づくり支援に乗り出すことを発表した。しかし現状を見れば、生活保護家庭以外も対象を広げたサポート体制が必須となるだろう。
とりわけ歯は一度失ってしまうと二度と元に戻ることはない。デンタルケアは一生の健康を左右する――。全ての子どもが健康な歯を維持できるよう、経済状態に関わらず適切な予防と治療を受けられるようにするべきだ。
(文=編集部)