ジャガイモを食べすぎない焦がさない。食べる時は、蒸す、茹でる、煮る
ジャガイモは、GI(グリセミック・インデックス)が90を示すグリセミック炭水化物(高GI食品)だが、かつ高血圧の予防効果があるカリウムを豊富に含む、いわばトレードオフ(両立不可能)の功罪があることから、高血圧の発症リスクへの影響は未解明だった。ちなみに、GIは、食後血糖値の上昇度や糖質の吸収度を示す指標で、摂取2時間までに血液中に入る糖質の量だ。
2003年にWHO(世界保健機関)は、低GI食品が過体重、肥満、2型糖尿病の発症リスクを低減させると発表、高GI食品であるジャガイモの関与も示唆した。つまり、ジャガイモは、GIが高いので、血糖値が上がりやすく、高血圧を引き起こすリスクが高い事実は明らかだ。
今回の研究が示唆する事実は興味深い。
この研究の目的は、ジャガイモ料理の弊害を警告したり、ポテトチップスの安全性を推奨することで決してはない。むしろジャガイモの適切な食べ方や料理の楽しみ方をアドバイスした研究と考えられる。
なぜなら研究によれば、1日1回の焼きポテト、茹でポテト、マッシュポテトを、1日1回の非デンプン質野菜に置き換えるだけで、高血圧のリスクは有意に低下したからだ。非デンプン質野菜とは、ほうれん草、小松菜、チンゲンサイ、セロリ、ピーマン、トマトなどの緑黄色野菜だ。繊維質が多いゴボウや、低カロリーのキノコ類もデンプンが少ない。
果物と非でんぷん質野菜を食べ合わせれば、体重が減るとする研究もある(メディカルカルトリビューンmedical-tribune.co.jp/news/2015/0926037422/)。
食べるジャガイモ1食分を非デンプン質野菜に置き換えたり、低GI食品のサツマイモ(GI55)を食べるのもいいだろう(GI値リスト)。
結論はシンプルだ。ジャガイモを食べすぎない、焦がさない。食べる時は、蒸す(じゃがバター、皮付きこふきいも)、茹でる(マッシュポテト)、煮る(肉じゃが、カレー、シチュー)。そうすれば、発がん性化学物質のアクリルアミドは発生しない(『「食べもの神話」の落とし穴』高橋久仁子/講談社ブルーバックス)。
バランスのいい規則的な食習慣、適度の運動、十分な睡眠などに切り替えるだけでも、ポテトチップスへの甘い誘惑は断てると信じたい。それこそが、人間だけに授けられたロバストネス(柔軟な剛健さ)だから。
(文=編集部)