子どもの「水イボ(伝染性軟属腫)」とは?治療はプールの季節前に!

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子どもの「水イボ」治療はプールの季節が始まる前に(depositphotos.com)

 毎年、春から夏にかけて、皮膚科を受診する子ども達が多くなるのをご存じだろうか。理由は「水イボ」。なぜ、この時期に受診が増えるのか――。

 水イボの正式名称は「伝染性軟属腫」といい、ウイルスが原因でできる感染症だ。患者の8割以上が幼児で、大人の罹る一般的なイボのウイルスとは種類が違うため、判別もしやすい。

 大きさは1~5mmで、体や手足、脇の下などの軟らかい部分にできる。イボの表面はツヤツヤと光沢がある白色やピンク色で、中央部分にくぼみがあるのが特徴だ。アトピー性皮膚炎と同時に発生した場合には痒みが現われるが、水イボのみの発症の場合には痛みはほとんどない。

 イボを潰すと出てくるのがウイルスの塊。ウイルス自体はもちろん、イボに触れることでうつる接触感染のため、あちこち触ることで全身に広がることもある。ウイルスに感染した場合、潜伏期間は2週間から6カ月だ。

水イボの子どもはプール禁止だが治療の必要はナシ!?

 冒頭のとおり夏前に水イボ治療が増えるのは、保育園や小学校では水イボを持つ子どもにプール禁止とすることが多いからだ。

 水イボのウイルスは、水やお湯を介してはうつらないが、プールでは肌が露出するため直接イボに触れる機会が増えたり、タオルやビート板などを共有することで感染リスクが高まる。そのため、夏前に慌てて治療する子どもが増えるというわけだ。

 がしかし、実は水イボに治療は必要ない。幼児期に罹っても数カ月から数年で抗体ができて自然に治るので、受診しても積極的な治療を勧めない医師もいる。

 とはいえ、同年代の兄弟がいたり、集団生活上での不都合など、対処せざるを得ない場面も多いだろう。水イボ対策を考えるとき、選択肢は2つある。ひとつは皮膚科での治療。もうひとつは市販の薬や食べ物での対策だ。

皮膚科での水イボ治療法とは?

 皮膚科での治療には複数の方法がある。そのため、子どもの状態や意思を鑑みて、以下の治療法から何が最良か、医師と相談することになる。

①専用のピンセットでイボを潰してウイルスを取り去る
 イボの数が少ないときに有効な物理的にウイルスを摘み取ってしまう方法。イボを潰す際に痛みがあるので局所麻酔のテープやクリームを使って痛みを軽減する場合も。イボの数が多い場合や子どもが痛みに敏感という場合には向かない。

②硝酸銀ペースト法
 硝酸銀のペーストをイボに塗ることでイボを腐食させて落とす方法。痛みはないが、ペーストを塗った皮膚は黒くなるため見た目が悪い。治療は数回続けるので通院が必要。治るまでには数週間かかる。

③液体窒素療法
 超低温である液体窒素をイボにつける治療法(冷凍凝固療法ともいう)。液体窒素で患部を急激に冷やすことで細胞を壊死させ、皮膚が再生したらまた灼くという治療を、ウイルスがなくなるまで繰り返す。一般的なイボの治療にも使われる方法で、処置時には(人によっては処置後も)強い痛みがある。完治には複数回通院しなければならない。

 その他、乳酸を使ってピーリングしていく方法や、魚の目などに使うサルチル酸ばんそうこう(スピール膏)を貼ってイボをふやかす方法などもある。イボの数が少なければ、ピンセットで取る方法が確実で早い。しかし、少しでもウイルスが残っていれば、他の場所で再発もありえる。

 いずれの方法をとるにせよ、完治となるまでには時間がかかることは理解しておいた方がいい。

自宅でできる治療は内服・塗り薬

 皮膚科を受診した際、外科的な治療だけでなく内服薬を処方されることがある。

 「ヨクイニン」はハトムギからを抽出された成分で免疫反応を活性化することで知られている。漢方薬として毎日服用することで、痛みもなく水イボを消失させることができる。薬でなくとも「ハトムギ茶」を毎日飲むことで同様の効果が得られる。皮を取り除いた「食べるハトムギ」も市販されている。

 しかしヨクイニンは、毎日、服用しなければならず、完治に数カ月かかる。また、麦アレルギーをもつ子どもには適さない。肌荒れにも効果がある漢方薬でサプリや市販薬も揃っているが、無論子どもへ与える場合は注意が必要だ。

 自宅で手軽にできる治療法としては「イソジン」が有効だ。イソジンといっても、うがい薬ではなく、傷薬のほうになる。イソジンの傷薬は医師も使う薬剤で、有効成分のポピドンヨードはウイルスにも効果のある消毒作用がある。イソジンには液状タイプと軟膏タイプがあり、これを毎日イボに塗る。完治まではかなり長い期間がかかるが、手軽にできる治療法だろう。

 ただし、ヨクイニンと同様、ヨウ素アレルギーのある子どもには使えない。また、一度に大量に使うと皮膚炎を起こすこともあるので、イボの数が多い場合は病院での受診をするべきだ。

 幼児期に発症しがちな水イボ。時期的な余裕があるなら、さほど慌てることもない病気だが、いざ治そうとすると、時間のかかるやっかいな面もある。

 日ごろ子どもの肌の様子をよく見て、怪しいなと思ったら早めの対応をすべきだろう。夏の暑い日、プールではしゃぐ友達と一緒に遊べずに悲しい顔をするわが子の姿を見たくなければ……。
(文=編集部)

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